この船首バルブのように船体ラインズからはみ出す部分を、付加部「アッペンデージ」と称している。高速船では、艦艇のソナーのように船体から膨出するが、[図2.2.6 バルバス・バウ]に見るように、主船体延長のW.Lは:
●バルブに沿って拡がるw1なのか、(ボックス線はB1)
●付加物のバルブの中を抜けるw2なのか、(ボックス線はB2)
定かでない。どう捉えてフェアリングするか、悩ましいところである。
もともとアッペンデージとは、船型での概念でなく、排水量等計算でシンプソン則を適用するときの扱い方だった。
ついでに数値現図での[図2.2.7 バウスラスター開孔展開例]を掲げておこう。作画現図と同要領で相貫体の解を求めており、図は上から、平面図、筒展開図、正面図の順に描かれている。バウスラスター貫通部は、船舶計算からは負(-)のアッペンデージで、流れ図に添えた「開孔等設定」は、その目的である。
*船型確定~Fr.L割込
首尾端丸め作業が完成すれば、船型は確定する。結果は「船舶諸計算」を通して、フィードバックされる。事例のフェアリング・システム"フェアリング・メイト"は、同じパソコン WINDOWSでの船舶諸計算システム"小型船セット"に接続している。
そして以降の数値現図作業のために、フェアリングに用いた横断面St.Lから構造の基準になるフレームライン: Fr.Lに細かく割り直されて、フェアリング作業は終わりとなる。
この構造基準のFr.Lとは、横肋骨構造では肋骨位置横断面線であるが、縦肋骨構造:ロンジシステムでは横肋骨はないので、Fr.Lと同等となるよう、トランスウェブ・スペースの1/4など正数割り位置を付加して補っている。その付加横断面にBilge BKT, Docking BKT, Carling, Panel Breaker…などの構造部材が位置することになる。