不許複製
まえがき
小型船造船業界が、経済社会のグローバル化と高度情報化の時代にあって、力強く復活するためには、現在の生産プロセスを徹底して見直し、情報化技術をいかに有効に取り入れていくかに懸かっているといっても過言ではありません。
このため、当会では、平成6年度において、小型造船業の経営合理化に関する調査研究事業を実施し、その中で建造工程における近代化の方法の一つとして、現図・切断作業のコンピュータシステム導入の必要性について提言してきたところでありますが、発展途上にあるコンピュータシステムに対する不安と対応できる技術者の不足も相まって、システム化は遅々として進んでいない現状であります。
そこで、あらためて現図技術者を育成するために、平成7年度に現図指導書作成分科会を設置し、第1編「現図展開」・第2編「原寸型・定規」の作成に続いて、この度ここに第3編「数値現図」指導書の初版を刊行いたします。
本指導書は、数値現図の基本原理や原則を体系的に解き明かしており、従来のようなシステムの表面的な機能説明や実用手順の操作マニュアル的なものを克服した内容になっております。したがいまして、適応能力のあるエンジニアを育成するのに資するのみならず、ポスト工業化の新しい時代に向けて、イノベーションを打ち出す一つの契機となることを確信いたします。
おわりに、本指導書の刊行に当たり、原案の作成及び編集にご尽力を賜りました小型船技術講習事業現図指導書作成分科委員会各位に厚くお礼申しあげるとともに、運輸省海上技術安全局のご指導と日本財団のご援助に対し、心から感謝申しあげます。
平成11年9月
財団法人 日本小型船舶工業会
会長 真砂忠夫