注)生産高=売上高-期首製品仕掛品+期末製品仕掛品+他勘定振替高
付加価値=生産高-(材料費+外注加工費+直接経費)
売上高より設備賃貸料を除外
有形固定資産は推定で賃貸物件を控除
社外工人数は調査書記入人数をヒアリングにより調整
労働装備率欄の( )は、土地を除いたもの
経営利益=営業利益+受取利息-支払い利息割引料
2] 生産性
労働生産性を示す1人当り付加価値は、9年度7,680千円、10年度7,377千円で4%低下している。6社で見ると、9年度8,519千円、10年度7,986千円(6%減)で低下率は大きい(B社の場合、事業部・本社人数中工場に見合うスタッフ数の割り振りがないので高めに出る)。しかし、この水準自体は決して高いものでなく、首都圏の給与水準を考慮した時に十分な生産性でないことは、労働分配率が9年度78.8%、10年度75.1%と極めて高いことからも明らかである。適正と考えられる水準は68%程度である。
労働生産性を個別に見ると、4,674〜11,118千円の間にバラついており、個々の事情とは言え極めて格差が大きい(個々の数値、人員、特に社外工の人員を詳細にチェックしてないことにも原因はある)。ただし、最小の生産性である造船事業所が利益をあげ、最高の生産性を上げている造船事業所が損失を出しているという、普通では考え難いことが起きていることも付け加えておくべきだろう。
生産性の低さは、付加価値率よりも資本効率の方に問題が多い。資本効率211%という水準は相当の設備投資をしており、償却不足がない場合には妥当だが、両方とも欠ける地区内の状況では300%位のものがあってよい。
その基本となるものは、設備の質と受注力である。労働装備率は10年度で3,496千円(土地を除くと2,530千円)であるが、その老朽度から見ると土地を含めても2,000千円足らずの内容しかない。また設備の生産効率を示す有形固定資産回転率は10年度で3.71回であるが、労働装備率からすれば4.5回程度あってよい。
生産性の観点からは、先ず受注力の低さがあげられ、そのために設備の合理化、近代化がかなり遅れたということになる。
もちろん、実際に仕事を消化する上での管理力についても検討を加えなければならない。