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2) 受注先

 

工事受注先を地域別に見てみると、新造、修繕ともに関東地区に主たる事務所等があり、東京湾内で稼働している船舶の所有者(以下「関東地区所有者」という。)からの受注が90%を超えており、「地元依存型の造船業」であると言える。

 

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図2-2-19 新造船受注地域

 

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図2-2-20 修繕船受注地域

 

3) 関東地区の長短に対する認識

 

中小造船事業者が関東地区の長所と考えているものは、官公庁や会社の本社機能が集中して立地していることや、わが国の物流の大拠点であることなどから、情報が入手しやすい25%、官公庁等の営業が有利22%、稼働船舶が多い21%、湾内の競争が少ない14%などである。一方、短所と考えているものは、人件費が高い34%、人手不足19%、資機材購入費が割高15%、公害意識が高い10%などである。これらから、人件費が高いことや、資機材購入費が割高であることなどが、関東地区造船業のコスト高の要因であると言える。

その長所、短所ともに首都圏の人口集中地区に立地する都市型造船業の状況がうかがえる。

 

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図2-2-21 関東地区の長所

 

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図2-2-22 関東地区の短所

 

4) 売上げ比率と多角化の現状

 

造船とその他の売上げ比率を見た場合、その他の事業の売上げは21%と少なく、その多角化の業種を見ると金属製品製造加工業及び機械組立・据え付け業が25%を占め、ボート等保管業8%と、現有の設備・技術を活した業種への進出が見られるが、造船関連の売上げの占める割合は79%と造船へ大きく依存しており、造修売上げの増減が大きく経営状況に影響する体質にあると言える。

 

 

 

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