しかも従属変数を「良性」か「悪性」の2つ、独立変数をSz/Sxy、M-D、Vei/V、3D-D/W、In(S/Vindex)の5つとすると、それらはいずれも連続変数であり、結果として悪性である確率が0(0%)〜1(100%)と計算できるためこの方法が最も実用的であると考えられた。なおS/Vindexに関しては、その自然対数の方が良い結果を得られるためIn(S/Vindex)を用いた。そして各独立変数のロジスティック回帰係数を算出し、その値から悪性である確率を示す回帰関数(=悪性である確率を表わす判定式P)を作成した。
2.判定式Pの検証
この判定式Pにおいて、新たな31症例(良性18例、悪性13例)を用いて悪性である確率p(%)を計算し、これをもとにA[良性と思われる。p≦25(%)]とB[悪性と思われる。p>25(%)]の2つに判定分類を試みた。そして判定Aを「陰性(-)」、判定Bを「陽性(+)」とすると、敏感度は69%、特異度は72%、正診率は71%であり、まずまずの結果であった。
3.今後の課題・展望
本システムを、検診などのスクリーニング検査に用いる場合、現時点では敏感度すなわち悪性腫瘍を陽性と判断する率が低く、すぐには利用できないと思われる。しかしながら、敏感度を上げるための判定式や良悪性判定の方法が改善されれば、乳癌検診などへ導入される可能性も十分あると言えよう。また同時に解析時間に関しても、リアルタイムに近づけるためにコンピュータ装置などの最新機器へのバージョンアップが必要と考えられる。今後需要が増すであろう超音波による乳癌検診は、本システムを用いることにより、多くの住民を対象に効率的に行なうことができるようになると思われ、さらに研究を推し進め実用化できることを期待したい。