2 機内の電磁波環境調査
機内の電磁波環境調査は、航空機搭載通信・航法等の電子機器に影響を与える恐れがある電波を検出する電磁波検出器の開発を目指して、調査計画の立案、測定装置の開発製作、装備試験、及び乗客が搭乗している実運航状態での測定を実施した。
これらの調査要領を次に述べる。
2.1 機内の電磁波環境調査計画の概要
2.1.1 目 的
航空機客室内に乗客が持ち込む携帯電子機器から放射される電波が機内航法装置に与える影響について解析し、その対策の一環として航空機搭載の通信・航法等の電子機器に影響を与える恐れのある電波を検出する電磁波検出器を開発するためには、運航中の航空機内の電磁波に関するデータが必要である。従って本調査の主な目的は、運航中の航空機内における電磁波強度や周波数分布等に関するデータを収集することである。
2.1.2 調査の内容
航空機内で観測される電波には、携帯電子機器から放射される電波の他に航法や通信のため航空機から放射される電波及び地上電波等が考えられる。
しかし、これらの区別は容易でないため、今回はVHFからSバンドまでの範囲(100MHz〜2500MHz)で航空機が使用する周波数帯を中心に機内の電磁波レベルを測定することにした。
2.1.3 調査の方法
ポータブルスペクトラムアナライザ、広帯域アンテナ、パーソナルコンピュータ等からなる電磁波環境測定装置を試作し、これを航空機内に設置して出発から到着までの間機内の電磁波レベルを測定した。
測定した航空機は、平成9年度航空機内から搭載無線機器のアンテナまでの経路損失の測定に用いた航空機と同型であること、及び我が国の航空3社が共通に使用している唯一の機材であることから、ボーイング777型機とした。また、測定区間は航空3社のボーイング777型機が共通して飛行している区間であり、かつ測定器の電池容量(1.5時間程度)を考慮して羽田-大阪(関西または伊丹空港)間とした。
2.1.4 日 程
主な日程は次のとおりである。
(1) 平成11年4〜7月:測定方法・内容の検討、電磁波環境測定装置の全体設計。
(2) 平成11年7〜10月:電磁波環境測定装置ハード部分の組み立て、測定プログラム作成及び電磁波測定用広帯域アンテナの開発。