4.4.5 TIS/GWS (FAA)
TIS/GWSは、SSRモードSのデータ通信機能を利用して気象画像情報および周辺トラフィック情報の提供を行うシステムで、FAAにより研究・開発が行われ、1995年に運用者による評価が実施されている。しかしながら、現在FAA側の運用費用等の問題から、実運用システムの導入については1997年末時点で凍結状態にある。
(1)提供サービスに関する評価
TIS/GWSは、モードS通信を利用したシステムで、管制通信レベルの通信性能を有することから、TIS/GWSの「提供サービス」に関する評価レベルはCとする。
(2)適用空域に関する評価
TIS/GWSはSSRモードSのカバレージ外での利用はできないことから、山間部・離島間への適用は困難である。またわが国においては非過密空港に対するSSRモードSの導入は近い将来においては実現される可能性が低いことから、ターミナル空域への適用は困難であるといえる。
したがって、TIS/GWSの「適用空域」に関する評価レベルはAとする。
(3)オペレーション負荷
TIS/GWSでは、周辺のトラフィックおよび気象情報を周期的に送信する。イベント駆動的な機能は有していないが、情報送信時間間隔が極めて短いことから、そのような機能は不要であるといえる。システムによる状況判断機能については、トラフィックの接近に対してTAを発出する機能を有する。したがって、本システムの「オペレーション負荷」に関する評価レベルはCとする。
(4)提供コンテンツ
TIS/GWSでは、提供するコンテンツをSAsおよびFTsのテキスト気象情報、降雨量画像情報、ならびに周辺トラフィック情報に限定している。気象情報はWSI社から有料で入手しているが、トラフィック情報についてはSSRにより入手したターゲット情報をそのままモードS通信によりアップリンクする形態をとっている。この中でリアルタイム性が要求されるトラフィック情報については、SSRモードSの空中線1回転ごとに更新されるため、非常にリアルタイム性が高いといえる。したがって、本システムの「提供コンテンツ」に関する評価レベルはBとする。
(5)ランニングコス卜
TIS/GWSサービスはSSRモードSを用いて実施するため、航空当局がそのサービスを提供することとなると考えられる。実際には情報入手および処理費用が必要となるが、航空当局がこれを整備し、広く遍くサービスを展開していくことを考えると、この値はフライトにかかる燃料費の3%未満程度になるものと考えられる。したがって、TIS/GWSの「ランニングコスト」に関する評価レベルはDとする。