本試用システムにおいては、機上評価装置がトラフィック情報を受信した場合、前に処理したトラフィック情報の観測時刻と、今回受信したトラフィック情報の観測時刻を比較し、今回受信したトラフィック情報の方が古い場合表示処理を行わない。したがって、機上評価装置の表示画面上では、メッセージの追い越しを確認することは困難であり、そのためヒアリングにおいて、メッセージの追い越しに関する意見は挙げられなかった。
アビコムジャパン株式会社の提供するACARS通信サービスにおいては、3分よりも短い周期でアップリンクを行った場合、RGSの混雑状況によっては、飛行評価試験で確認された3ケースのようにメッセージ順序性が確保されない可能性がある。
小型機運航地上支援システムを用いて3分以下の時間間隔でアップリンクを行い、かつその情報の順序性が重要となるコンテンツを取り扱う場合には、追い越しが発生した場合の情報の隠蔽・観測時刻の明記等の処理や、利用する通信インフラが採用しているプロトコルの見直し等について検討していく必要がある。
4.3.4 メッセージ優先度管理
飛行評価試験後のヒアリングにおいて得られたメッセージ優先度管理の必要性に関する意見は、機上評価装置側ACARS通信機CNS-12の制約2により生じた問題に起因するものであるため、ここでの意見は通信インフラの問題を直接言及するものではない。しかしながら、飛行評価試験において利用した通信媒体であるVHF-ACARSには、プロトコル上でのメッセージ優先度管理機能を有していないため、4.3.1項に示される伝送遅延はメッセージの緊急性とは無関係に生じることとなることから、緊急メッセージに対する優先度管理機能は同様に求められることになると考えられる。
4.3.5 メッセージ送達確認
飛行評価試験後のヒアリングにおいては、通信に関する意見として送達確認の必要性を言及する意見が最も多く寄せられている。挙げられた意見は以下に分類される。