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まえがき

 

わが国の小型航空機の通信及び航法を取り巻く環境は、安価なGPS受信装置や移動無線機器の普及とともに、これらの機器の搭載が急速に広まっている。これによって、小型航空機の運航に関して新たな可能性が出てきた。すなわち、低高度を飛行する小型航空機は、運航が天候に左右されるVFR飛行方式を余儀なくされていた。

しかし、ここで、GPSの欠点を補完したGNSSと衛星通信による航空管制を組み合わせれば、低高度において懸案となっているブラインドゾーンをほぼ完全に解消され、小型航空機の柔軟で効率のよい安全な運航が可能となる。したがって、二地点間旅客輸送のような運航形態においては飛躍的に就航率が高まり、更なる需要を生み出すことが期待できる。

我が国においては運輸多目的衛星(MTSAT)が2002年に打ち上げ予定であり、これに搭載される航空衛星機能が利用できることとなる。補強型GNSSの活用とともに小型機用簡易型FANSシステムの構築が可能となることが期待されている。

これらの環境整備状況の進展を受けて、航空振興財団は、運輸省航空局の要請に基づき、「小型機運航に対する地上支援システムのあり方調査・研究員会」を設置して、平成9年度より小型航空機のための運航管理システムの開発に関する調査及び開発を開始した。

本調査・研究委員会では、さらに、以上のような視点から、我が国において利用可能と思われる地上システムと、対応する機上システムの要件の検討を目的として、機材を整備した。

本報告書は、このように整備された、現時点において可能なシステムを例として、小型航空機のための運航管理システムに関する評価を行い、その調査研究成果をまとめたものである。

 

平成12年3月

財団法人 航空振興財団

小型機運航に対する地上支援システムのあり方調査・研究委員会

 

委員長 東口 實

 

 

 

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