1. 研究概要
1.1 研究背景
民間航空機の測位システムとしてGPS補強システム(米国においてはWAAS(Wide Area Augmemtation System:広域補強システム)、欧州においてはEGNOS(European Geostationary Navigation Overlay Service:欧州静止衛星航法オーバーレイサービス))の整備がすすめられている。
米国におけるWAASは大西洋上に1個(AOR-W)及び太平洋上に1個のWAAS衛星(POR)が配備され今秋(平成12年9月)の運用開始に向けて調整中にある。
わが国においても、運輸多目的衛星(MTSAT:Multi-functional Transport Satellite)を配備し、これを利用した運輸多目的衛星用衛星航法補強システム(MSAS:MTSAT Satellite based Augmentation System)の整備が進められている。計画の推進を図るためには、早期にこれら衛星からの情報を利用する機上受信機を開発し、その機能、性能を評価することが重要であると考え本研究を実施するものである。
1.2 研究目的
GPS補強システム用機上受信機に要求される要件を明らかにするとともに、当該要件を満足する受信機を開発し、その機能、性能の確認を行なうことを目的とする。
1.3 研究内容
昨年度開発したGPS補強システム用機上受信機を使用し受信機の機能・性能の評価を行う。
実衛星の信号若くはシミュレータ等を用いて、受信機の動作確認を行う。
(1) GPS補強システム用機上受信機の評価試験の実施
1) 地上評価試験
a) シミュレータを使用してのダイナミック状態での評価
b) 米国のPOR衛星電波による測位の評価
c) 電子航法研究所のGPS補正データを使用した測位の評価
2) 飛行評価試験評価
a) 米国のPOR衛星信号によるWAAS測位の評価
b) MTSAT信号によるMSAS測位の評価
c) 電子航法研究所のGPS補正データを使用した測位の評価
*ただしMTSAT信号による評価は状況が整い可能な場合に実施するものとする。