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(2) 物理層のSARPs検証の実現

標準レンジの3Tを含むシステム構成に対応したスロット制御および機上局の同期確立が、実現できた。

(3) クリティカルなデータ伝送に適したデータフォーマットである。

データフォーマットの理論検証からモード3は、管理されたデータ伝送によるメッセージの到達性と、優れたエラー訂正能力があることから、リアルタイム性とあわせて、確実に伝えたいメッセージを即座に伝送する場合に有効であることが分かった。特にデータ送信の場合は、あらかじめ、地上局にスロット予約を行う必要があるため、データの衝突が発生することがなく、データ到達性は非常に高いものとなる。

 

5.2.11 今後の課題

 

今年度がVDLモード3の調査として最終年度であるが、今後更に評価を行う機会があるならば、上位層を含めたシステムを構築し、評価を行う必要がある。

(1) システムとしてのリアルタイム性の評価

物理層では、設計目標を大きく上回る結果が得られたが、システムのリアルタイム性に上位層の処理負荷が大きく左右されるため、実運用レベルのリアルタイム性について再評価する必要がある。また、音声処理部を含んだ音声チャンネルのリアルタイム性についても同様である。

(2) MAC処理における物理層の評価

モード3では、3つの異なったタイミングを維持しなくてはならない。本試作では、データ伝送を主に評価目標としたため、MAC層を全て含んでいない。このため、主タイミングTDMA制御のみを行った。しかし、この他に代替タイミングとフリーランのタイミングの管理により、音声チャンネルの短縮化モード、音声のスケルチウィンドウの対応を行う必要があり、これらの実証検証を行う必要がある。

(3) 実環境におけるデータスループットとメッセージエラーの評価

本試作では、物理層のみの評価であったため、実環境下(飛行試験など)におけるデータの到達性、メッセージエラーの検証を行っていない。また、データスループットの検討では、単に物理層単独のレベルであり、モード3の特徴を生かし切れていないため、今後モード3システムとしてのデータスループットを評価検証する必要があると思われる。

(4) VDLモード2及びモード3の比較

モード3の評価だけでなく、モード2との伝送遅延及びスループット等の比較評価も必要と考えられる。

(5) 運用に関する検討

将来のモード3運用を想定した場合、以下の検討及び評価も想定する必要がある。

・音声及びデータのセキュリティー確保の検討

・音声通信を行うにあたっての周波数切替方法の検討

・音声通信を行うにあたってのリアルタイム性の検証

・システムの冗長構成方法の検討

・覆域をまたがる場合のデータ連続性を保証する方法の検討

・拡張レンジを使用しなければならない運用条件とは何かの検討

 

 

 

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