5.1.2.1 予約要求ランダマイザ(RR)
予約要求ランダマイザ(RR)は、航空機において、データ送信イベントが発生してから、予約要求を送信するまでにスキップするタイム・スロット数である。つまり、上位のアプリケーションからの送信要求が発生してから予約要求を送信するまで、どれくらいWAITしてから予約要求を送信するかを定めたパラメータである。
WAITは、ICAO24bitアドレスより算出し、パラメータの範囲内の乱数を取ることで、他の航空機との予約要求の衝突を低減させる目的を持っている。
図5.1.2.1-1〜図5.1.2.1-4は、2V2D同時送信(500バイト)を用いた、RRの変化による伝送時間、衝突回数、再送信回数及び再送信回数オーバー機数を示したものである。
(1) 伝送時間
伝送時間は、1機目のシナリオ開始から最後の航空機の伝送終了(送達確認)までの総時間を示している。RRの値を大きくすると、伝送時間は増加する。これは、予約要求を送信するまでのWAITの乱数範囲を大きくする(RRの値を大きくする)ことで、各航空機の予約要求送信までの時間が増加するため、全体の伝送時間が増加したものである。
(2) 衝突回数
衝突回数は、各航空機の予約要求が同一スロットに対して行われたことを示している。なお、この回数は、同一スロットに対してn機の予約要求が行われた場合、n回の衝突として示している。RRの値を大きくすると、衝突回数は減少する。これは、予約要求を送信するまでのWAITの乱数範囲を大きくする(RRの値を大きくする)ことで、各航空機の予約要求の範囲が広がるため、全体の衝突回数が減少したものである。
(3) 再送信回数
再送信回数は、各航空機がデータの再送信を行った回数を示している。再送信は、以下の場合に発生する。
・RACK(予約要求受付不可)
・予約要求無応答
・予約要求の衝突
再送信回数は、衝突回数と同じで、RRの値を大きくすると、再送信回数は減少する。これは、予約要求を送信するまでのWAITの乱数範囲を大きくする(RRの値を大きくする)ことで、各航空機の予約要求の範囲が広がるため、予約要求が正常に受け付けられたこと及び衝突回数が減少したことによるものである。
(4) 再送信オーバー機数
再送信オーバー機数は、規定の再送信回数を超過したデータ数(機数)を示している。再送信回数を超過したデータは、その時点で送信を停止するため、再送信オーバー機数が大きいと、データ送信成功率が悪いことを示している。再送信オーバー機数は、再送信回数に同じで、RRの値を大きくすると、再送信オーバー機数は減少する。これは、予約要求を送信するまでのWAITの乱数範囲を大きくする(RRの値を大きくする)ことで、各航空機の予約要求の範囲が広がるため、再送信回数が減少したことによるものである。