4. 変復調部/TDMA制御部の試作内容
4.1 概 要
4.1.1 目 的
VDLモード3装置には、VDLモード2とは異なりいくつかの特徴がある。その特徴とは、リアルタイムデータ伝送、音声・データ伝送の対応、多様なシステム構成、複数ユーザヘの対応などである。試作評価試験は、これらモード3の機能を実現、評価できるハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを設計し、基本的動作を検証する事にある。これらの試作により、ICAOに於いて検討されているVDLモード3のSARPs検証に貢献するとともに、将来の実用装置設計に資することを目的とした。
4.1.2 評価内容
VDLモード3の機能の中でも特に重要な項目を評価するため、以下の評価項目を検証する。
(1) 同期確立の検証
機上局が地上局のTDMAタイミングに従属的に、同期できることを検証する。
機上局に於いては、地上局とTDMAタイミングが一致していなければ、データ送信が許可されていない。また、ユーザグループの管理に於いても、TDMAタイミングが同期していることが必要である。このため、データの送受信を行うためには、同期確立を完了していなければならず、モード3を実現するためには、極めて基本的な機能と云える。
(2) 最短応答時間の検証
データ送受信のリアルタイム性を検証するため、最短応答時間を評価する。
データ送受信の中で、最もリアルタイム性が必要とされる項目は送達確認(ACK)処理である。モード3のデータ伝送を扱う一般的なシステム構成である2V2Dを例にとると、この送達確認は、1MACサイクル以内に処理されなければならない。この実現性について評価を行う。
(3) 複数ユーザグループの対応
2V2Dのシステム構成において、ユーザチャンネルを切り換えることにより、異なるデータを送受信出来ることを検証する。
モード3の機能では、システム構成を変更することにより、同一周波数を複数のユーザグループに分けて、管理することが可能である。この機能を検証する為、地上局では複数ユーザに対応するが、機上局に於いては割り当てられたユーザグループのみ送受信できることを確認する。