まえがき
本調査研究は、運輸省航空局の要請に基づき、国際民間航空機関(ICAO)の航空移動通信パネル(AMCP)において検討が行われているリアルタイム空地データリンクに関する情報収集及び技術要素の基礎研究を目的とし、1997年(平成9年)から活動を開始したものである。その実施にあたっては、学識経験者及び航空専門家を委員とする「リアルタイム空地データリンク委員会」を設置した。
ICAOでは、リアルタイム空地データリンクのSARPs(標準及び勧告方式)の承認を本年度中に行う予定である。
当委員会は、ICAOの検討作業とほぼ同時期に開催されたことで、最新の国際動向及び関連する情報を入手でき、当委員会の3年間の研究活動で行ったリアルタイム空地データリンクの基礎調査、SARPsに基づいたハードウェアの部分試作及び運用評価シミュレーションの実施を通して、我が国の航空管制用通信システムの将来像を探ることができたことは評価できると考えられる。
リアルタイム空地データリンクは、ICAOのCNS/ATN構想の一部を構成すると考えられており、将来の航空通信の主要データリンクとなり得る可能性を有している。今後は、当研究委員会で得られた試作内容及び評価結果をもとに、実用化を想定した試作及び評価を継続することがこれからの航空管制システムの発展に必要と考えられる。
平成12年3月
財団法人航空振興財団
リアルタイム空地データリンク研究委員会
委員長 浅野正一郎
