1].新試験方法に記載されている概念図より装置を試作し試行する。
2].新試験方法で使用する鋼はIS09328(II)-1991、アルミニウムはIS07075-T6またはAZ5GU-T6相当品とされているが、国内における板状材料相当品を調査し、指定仕様の試験片を作成し試験方法を検討する。
3].従来は試験片を半没状態で試験したが、気相中及び全没の試験が追加され3状態での試験実施となった。これに伴い従来の規定による判定と結果の異なる物質も想定されるため早急に試験実施手順の問題点の洗い出しを行う。
4]. 上記問題点を解決し、早急な試験実施体制を確立するとともに、試験実施要領を作成し当該試験の円滑な導入を計る。
2) 成果の概要
a) 標準的試験装置及び試験器具、ASTM例示鋼及びアルミニウム試験片を製作し、耐アルカリ性試験液用器具に関する知見を得た。
b) ASTM法に準拠した試験実施手順をほぼ確立した。また、下位置にある試験片への液だれ対策、還流液の試験片に与える影響対策、アルカリ性試験液に対する対策に関する知見を得た。
3) 今後の検討課題
a) 基準値に近い腐食量が得られると思われる1%濃度の単純酸・アルカリ試験液を用いて基礎データの蓄積をはかる。
b) ASTM記載内容の問題点である試験液の減少対策、化学的処理の実施、錆除去方法、程度の基準について検討する。
c) 入手困難な鋼材SPV235について、代替品の探索を行う。
d) 以上の検討結果を試験実施手順に加え、試験実施手順を確立する。
4.2 委託研究「可燃性物質:SADTの予測手法に関する研究」
1) 目的
国連勧告のSADT測定には、H1(USSADT試験)、H2(断熱貯蔵試験)、H3(等温貯蔵試験)、H4(蓄熱貯蔵試験)が推奨されているが、いずれも試験のための試料量が多く、また、試験期間が長いという問題がある。また、最近の少量生産の高価な物質、少量でしか流通しない物質もあり、小規模で、安全、かつ、精度の高い試験の適用が望まれている。
そこで、本研究では、試料量が数gと少なく、数日で測定を完了できるARC(Accelerating Rate Calorimeter)について、そのSADT測定への適応可能性を、以下の点から検討する。
1]. ARCで求めたSADTの予測値とSADT(UN記載値および文献値)との相関について検討する。
2]. ARCのSADT測定のためのスクリーニング試験としての適応可能性について検討する。
2) 成果の概要
a) ARCは、試料量が1-3gと少量で、かつ、24時間以内に測定が完了する等大幅な試験期間の短縮が可能であり、SADT予測に優れた性能を有することが確認された。