例えば、消費者が買物をした時、クレジットカード番号をクレジットカード会社に通知するような場合、クレジット会社が公開している公開鍵を利用して情報を送信する場合などに使用されます。また、前述の対称秘密鍵方式で、相手に当該秘密鍵を送りつけたいときに使用すれば、EDIで安全に鍵情報の交換ができることとなります。
9-3.安全性、暗号技術、電子署名、本人認証
Q9-3-7:最近、暗号が解読されると言う記事を読みましたが、EDIに利用される暗号は安全なのですか。
現在EDIで一般に使用されている暗号アルゴリズムは、数学的には証明されていないものの、暗号文を鍵なしでは解読できないと言われています。しかしながら、幾つかの暗号文と対応する平文が入手されている場合は、コンピュータによってあらゆる組み合わせの鍵を生成して試し計算を続けていれば、いつか正解の鍵を見つけ出すことは可能です。ただし、正解の鍵を見つけ出すための試し計算の回数は、鍵の長さが長くなるほど膨大となります。例えば、鍵の長さごとの計算鍵の組み合わせの可能性の数は、鍵の長さがnビットであれば2のn乗回となり、128ビットであれば2の128乗、すなわち10の38乗の回数となります。よって、充分な鍵の長さを使用している暗号鍵による暗号文を解読するには、膨大な計算量となり、事実上不可能に近いこととなるはずです。
最近発表された、画期的な解読実績では、512ビット長の鍵を、1999年現在最新コンピューター292台で7ヶ月半で解いたと言うものです。これが画期的と呼ばれるのは、試し計算の順番を工夫することで、計算回数を画期的に減らし、1年以内で解いてしまったことです。それでも、300台近いコンピューターを並列に接続し、半年以上もかかっており、現実のEDI暗号文を解読しても割にあうとは思えないでしょう。