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1]Hague RulesやHague Visby Rulesが当然には適用されない。

本来、これらの規則(国際条約)は、船荷証券乃至同様の“document of title"を規制の対象としており、従って契約の証憑に過ぎないSEA WAYBILLには原則として適用されません。従って、それらの規則の強行法規としての規制を免れ、契約内容を自由に決められる余地が有る反面、予期せぬ契約条項が含まれる可能性も有ります。

SEA WAYBILLの運送契約を、それらの規則に沿ったものにする為には、それらの規則を、契約の条項”として、上手に摂取する必要が有ります。(尚、この点に関しては、わが国の国際海上物品運送法は、例外的な存在です。同法は、HAGUE VISBY RULESを批准・国内法化したものであるにも拘わらず、適用範囲を広げ、“船荷証券が発行されているかどうかに関わり無く、”船舶による物品運送で船積港又は陸揚港が本邦外にあるもの」に適用されます。同法第1条)

2]受荷主が、運送人に対する訴権を持たないことになる場合が有りうる。

3]準文言証券性が無い。

4]物権的効力も譲渡性が無く、担保価値が少ない。

5]裏書や裏書の資格授与的効力が無い。

6]荷送人の運送品の処分権に制限を加えないと荷受人の地位は不安定である。

商法582条[運送品の処分権]

荷送人又は貨物引換証の所持人は運送人に対し、運送の中止、運送品の返還その他の処分を請求することを得。…

前項に定めたる荷送人の権利は運送品が到達地に達したる後、荷受人がその引渡を請求したるときは消滅す。

7]「荷受人による荷送人の権利の取得」の為、貨物の到着後、荷送人が運送品の占有を確保するのが難しい。

商法583条[荷受人による荷送人の権利の取得]運送品が到達地に達したる後は荷受人は運送契約に因りて生じたる荷送人の権利を取得す。

これらの性質により、貿易金融に於いて、貨物を担保とするのが困難な事が、電子B/Lの研究が求められた一つの理由です。

 

 

 

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