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4-6.権利・義務関係

 

Q4-6-2:船荷証券の場合、運送人が誰であるか(原船主か、それとも定期傭船者か)は、券面上の記載により判断されると思いますが、電子B/L上の場合、FOR THE MASTER B/L ベースのものも有り得るでしょうか?

或る船社が船荷証券の発行を物理的に行う場合でも、必ずしもその船社自身が、当該船荷証券上の運送契約における運送人とは限りません。この事実は、次の様な実態を見れば明白です。

海運業に於いては、自己の所有船舶で運送する以上に、定期傭船・航海傭船等の傭船契約により傭船した他人の船舶を使用して運送することが多いこと。

船荷証券は、元来、船長が署名し、船主が運送人になる「船主船荷証券」が原形で有り、例えば「商法の船荷証券」は、このような“船主船荷証券”であるが、現在でもその様な船荷証券がかなりの部分を占めていること。元来、定期傭船契約の契約FORMは、船主船荷証券を前提として作成されている。

一方、HAGUE RULES以来(?)、所謂「運送人船荷証券」が登場し、船主以外の者でも、つまり傭船者等でも自ら運送人となって発行するタイプが現れ、外航海運に適用のある「国際海上物品運送法」の船荷証券は、この形を採用していること。

従って、或る船社が、船荷証券を物理的に発行するといっても、傭船した船舶に関する船荷証券では、傭船契約の規定に従い、船主の“AGENT”として発行する“船主船荷証券”の場合も有れば、自分自身が運送人となる「運送人船荷証券」の場合も有ること。

(例えば、傭船者“A”社の船荷証券FORMが使用され、“A”社のロゴが付いた船荷証券であっても、船荷証券上の記載により、船主が運送人であることが明らかに表示されていれば、船主船荷証券とされます。船荷証券は、流通証券ですから、券面上の記載に従うのは、当然のことです。)

この様な船荷証券発行の形態は、広く世界で認められており、我国でも最高裁判決で認められていること。

お尋ねの点は、誰が電子B/L上、運送人となるか次第です。

ただ、上記した様に、電子B/Lに船荷証券同様の働きを与える為には、関係者間の特別な取極めによる契約のスキームが必要でしょうから、定期傭船者はその様な取極めのメンバーだが船主は違うということになると、肝心の運送人である船主に対して船荷証券同様の効果を主張出来なくなります。運送人は必ず、取極めのメンバーであることが必要でしょう。

 

 

 

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