■運輸部門における二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出
二酸化炭素以外にも、メタン、亜酸化窒素、HFCの各温室効果ガスの排出に運輸部門が関わっています。
メタンは、ガソリンや軽油がエンジン内で燃焼される際、これらの一部が分解することにより生成、排出され、1994年度では、我が国におけるメタンの排出量のうち約5%が運輸部門からの排出となっています。現在我が国では、自動車に対する炭化水素(メタンも含む)の規制が実施されており、技術の進歩に伴い段階的に強化されてきています。
亜酸化窒素は主としてエンジンから排出される排出ガスを浄化するための触媒を通過する際に、副成、排出されています。亜酸化窒素の排出量を把握する研究は始まったばかりであり、今後も引き続き、亜酸化窒素排出削減のために、研究を続けていく必要があります。
HFCは、カーエアコンや冷蔵庫の冷媒等に用いられており、その廃棄の際に出ることが知られています。今後とも、回収を徹底すると同時に再利用、破壊などの対策を講じていく必要があります。
2]気候変動枠組条約と京都議定書
「大気中の温室効果ガス濃度を気候系に危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準に安定化させる」ことを目的として、1992年5月に気候変動枠組条約が採択され、同年6月の地球サミット(リオ・デ・ジャネイロ)で各国首脳により署名式が行われました。
この条約では、先進各国は、温室効果ガスの人為的排出を2000年において1990年の水準で安定化させることを目指していますが、それに加え、2000年以降に先進国が達成すべき目標などについて、1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)において採択されたのが京都議定書です。
1998年の第4回締約国会議では、京都議定書で導入された排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムの制度について、2000年に開催予定の第6回締約国会議で合意を目指すことが決定され、そのための交渉が行われています。