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II. 運輸部門における環境問題の現状と対策

 

1. 地球温暖化

 

(1)地球温暖化問題と運輸

1]地球温暖化問題の現状

■地球温暖化のメカニズムとその影響

わたしたちはエネルギーを得るために、石油、石炭、天然ガス(これらは化石燃料と呼ばれています。)を燃やして二酸化炭素(CO2)等を発生させ、大気中に放出してきました。

大気中に存在する水蒸気や二酸化炭素などの気体は、太陽からの光の大部分を透過させる一方で、地表面から放出される赤外線を吸収して大気を暖める働きをしています。このように、あたかも温室のガラスのように作用して地球を暖かくし、生命の生存に適した気温をもたらしている気体を温室効果ガスと呼んでいます。

 

●温室効果のメカニズム

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ところが、産業の発展などで人間生活が活発化するにつれて、大気中に排出される温室効果ガスが急激に増加して、温室効果が強くなってきており、気温もそれだけ高くなると心配されています。これが地球温暖化です。

石油等化石燃料の世界的規模での消費拡大に伴い、地球温暖化を防止するための施策が実施されなければ、二酸化炭素等温室効果ガスの大気中濃度が増加し、地球温暖化が進みます。これにより、21世紀末には、1990年に比べて地球全体の気温が約2℃、海面が約50cm上昇し、豪雨や渇水の回数の増加、熱帯・亜熱帯地域での食糧生産の低下、マラリアの患者数の増加、地球の全森林の3分の1で現存の植物種の生育が困難になる等の被害がもたらされることが気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書で指摘されています。

このような地球温暖化問題は、我々の世代で早急な対策を講じないと、次世代以降に、より深刻な影響が顕在化するものであり、その時点で対策を行っても既に回復が困難となる性格を持つものです。

 

●過去1000年間と2100年までの地球の平均気温の予測

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資料: 環境庁

 

●地球温暖化による気温上昇量の予測(2100年頃)

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資料: 気象庁「地球温暖化予測情報 第1巻」

 

 

 

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