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○石 ありがとうございました。

では、浅岡さん、お願いします。

 

○浅岡 一人一人の消費者の立場として、京都会議の後、よく自分の身の回りでできることをしましょうといわれました。電気を小まめに消しましょうとかアイドリングをストップしましょうとか。それはそれでむだとは言いませんけれども、またそういう意識も高まってきていると思いますけれども、我々は製品を利用しながら、あるいはサービスを受けながら生活をしていく中で減らしていかなくてはいけない。自動車は1世帯当たりの排出でみますと、2分の1を占めるんですね。自動車を持たない家庭はそれだけ環境に与える負荷は少ないわけですけれども、1台の自動車がそういう役割を果たしていることを考えますと、製品自身をどう負荷の少ないものにしていくか、それに頼らない暮らし方をどう開発するかが本当に大きな課題になるだろうと思います。

先ほど佐和先生が、民生部門、家庭の中での削減効果が少し出ているのではないかと言われましたけれども、例えば冷蔵庫はどの家庭でも24時間つけていますので、同じ時間使うわけです。でも、同じ容量で倍ぐらいエネルギー効率のよいものが急速に市場に出ていまして、売り場でも月にこれだけ電気代も安くなりますよ、環境への負荷もいいですよと表示していますので、買いかえの時期に選択を促しています。蛍光灯でも急速に起こっていると思います。自動車についても、今燃費効率が急速によくなってきていることはみんなよくわかってきていますので、少しでも負い目が少ない自動車に乗りたいという気持ちが多くの人にあるわけです。最近の世論調査でも、何らかの形で自動車の利用に制限を加えるべきだという人が75%もあって、うち規制的な手法に重きを置く人よりも経済的な措置の方が望ましいと考える人の方が倍ぐらい多いということにも、この傾向が反映しているわけですね。

そうしたときに、買いやすいことが重要です。選びやすいためには、わかりやすく表示されることに加えて、やはり余り高いと買えないわけですから、安くはならないにしても、これだけ負担を軽くしてありますよとすることで消費者の行動を促すために、非常に大きなインセンティブになるわけです。そういう意味で、保有にかかる税金は、消費者に長い目で物を考えさせる効果もあり、環境に悪いものは税を重くすることが、我々の判断をより合理的にしていく意味でも大事だと思います。こういう仕組みが考え方として徐々に出されてきて、税の仕組みを消費者自身が学んでいく点からも貴重な入り口だと思っています。

 

 

 

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