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(7) 荒木時彌・熊本県大津町長(JR九州豊肥線)

駅のバリアフリー化が自転車持ち込み普及に直結する

 

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─大津町の地理的特徴は。

荒木 大津町は熊本市の東方約19キロメートル、熊本市内から阿蘇山への観光ルートの中間に位置する。阿蘇外輪山に連なる山林・原野や、阿蘇を水源とする白川の豊かな流れに恵まれ、畑作、稲作、酪農業などが盛んだ。とくにカライモ(甘薯)の産出量は県内一。そのおいしさ、品質の高さは全国でも指折りと自負している。

─農業が盛んな一方で、大津町は高度な産業が集積する先進工業地域としての横顔も併せ持っている。

荒木 その通りだ。大津町は熊本テクノポリス圏に属し、本田技研工業熊本製作所をはじめ、室工業団地、熊本中核工業団地などがある。とくに昭和51年に操業開始した本田技研熊本製作所は町の経済活性化に大きく貢献し、現在も約3000人の従業員を雇用して地元経済の中核的役割を果たしている。

このほかにも、HOYA、東京エレクトロン九州、三菱電機熊本セミコンダクタ、三井ハイテックなど、産業界を代表する企業が数多く町内に進出。おかげで、税収は他の町村に比べずば抜けている。通常の町村では税収のトップは住民税だと思うが、大津町の場合は法人税の比率が最も高く、その次が固定資産税、3番目が住民税だ。また、地元の高校生の就職先としても進出企業は大いに貢献している。

─そのような特色をもつ地域で、今回、JR豊肥線による自転車持ち込みモデル事業が行われたわけだが。

荒木 大量の旅客を輸送できるJRは町の発展にとって不可欠な公共交通機関であり、非常にありがたい存在。しかも、豊肥線の熊本〜大津間は平成11年10月から電化され、同時に最新型車両が全面導入されたので、ますます利便性が高まった。また地球環境保全の面でも公共交通機関の果たす役割は大きく、今後、もっとJRを活用していくべきと考えられる。

そのためには、「より利用しやすいJR」をさらに追求していかねばならないが、今回のモデル事業は「利用しやすさ」を高めるための新しい試みとして大いに評価できる。町としても全面的に賛成なので、役場の職員に交代で自転車持ち込みの体験乗車をしてもらった。

─手ごたえのほどは。

荒木 肥後大津〜熊本間を体験乗車した職員によると、自転車専用車両を設けているので、何の抵抗感もなく自転車を持ち込むことができたそうだ。また「自転車だと自分に最適なルートを選べるので、熊本市内で自由に買い物を楽しむことができた」とも聞いている。

 

 

 

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