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─自転車利用を促進するために必要な施策は。

山崎 やはり、自転車で安心して通行できる専用道の整備が不可欠だろう。平戸大橋には自転車も通れる歩道が設置されており、こうした交通環境を各所で整備してゆけばよいと思う。同時に、駅前の駐輪場整備や、駅構造の改善、ホテルなど宿泊施設との連携も必要になってくる。

─そのほか、町としてどのような環境保全施策に力を入れているのか。

山崎 田平町、平戸市、松浦市、生月町、福島町の2市3町で、九州一レベルの高い一般廃棄物処理施設を田平町内に建設する計画を進めている。長崎県では昨年3月、厚生省の方針に則って「ごみ処理広域化計画」を策定しており、田平町など2市3町は県の計画に基づいて施設の整備を進めようとしている。建設費用は140億円程度を予定し、平成14年の操業開始を目指す。

─施設の種類と規模は。

山崎 1日当たり65-70トン程度の燃えるごみを処理するごみ焼却施設、同160リットル程度のし尿・浄化槽汚泥・生ごみを処分するし尿処理施設(汚泥再生処理センター)、同17トンの金属やガラスなどを再資源化するリサイクル施設、収集したごみを保管するストックヤードで構成される。

ごみ焼却施設は、焼却後の灰や残渣を熔融固化し、建設用資材として再利用。し尿処理施設でも汚泥の再利用を図る。リサイクル施設では、鉄・アルミの缶類、ガラスカレット、廃木材、紙類、ペットボトルなどを資源化するとともに、不要な粗大ごみを補修して再生品にするなど、徹底したリサイクルを推進していく。

─ごみ処理を広域化することのメリットとデメリットは。

山崎 小規模な市町村で、ダイオキシン対策を施した連続式焼却炉を個別に建設することは財政的に不可能。一つの廃棄物処理施設による広域処理は、個々の市町村の負担を軽減する意味で有効だろう。

しかし、広域化によってごみの長距離輸送を余儀なくされるのは大きな問題だ。田平町など2市3町は東西100キロメートルにわたって広がり、処理施設の建設地から最も遠い収集地までは45キロメートル。それだけの距離を毎日トラックでごみ輸送すれば、大気汚染やCO2(二酸化炭素)増大が懸念される。今後、こうした広域処理の問題点にも着目し、地方の実情に合った枠組みを構築するべきだ。

 

 

 

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