−福岡市の都市としての特徴は。
山崎 キーワードは「海とアジア」。博多湾を経て玄海灘に面し、朝鮮半島や中国大陸に近いという地の利もあり、古くから我が国とアジアとの交流窓口として栄えた。江戸時代には市内中央を流れる那珂川を挟んで西の城下町「福岡」と東の商人の町「博多」がそれぞれ個性を生かして発展してきた。
しかし、明治以降は、九州でもそれほど大きな都市ではなかった。1890年(明治22年)に市制移行した当時の市域面積は約5平方キロメートルで、人口もわずか5万人。それが、福岡県の県庁所在地として発展し、周辺町村との相次ぐ合併で市域と人口も増え、さまざまな産業集積もあいまって、現在では九州の中枢都市となっている。
−福岡市営地下鉄の概要は。
山崎 昭和56年に1号線の室見-天神間の5・8キロメートルが開業して以来、今年で19年目を迎える。現在、市内西部の姪浜から福岡空港までの1号線(営業キロ数13・1キロメートル)、東区の貝塚から中洲川端までの2号線(同4・7キロメートル)が営業している。さらに、平成7年から市の西南部方面へ3号線(同12キロメートル)を建設中だ。
1号線はJR筑肥線と相互乗り入れしており、2号線は貝塚駅で西日本鉄道の宮地岳線と接続している。また、天神駅では西日本鉄道大牟田線、博多駅では鹿児島本線および新幹線とそれぞれ接続し、福岡空港駅では空港利用者のアクセスとして文字どおり都市間・都市内交通の基幹鉄道となっている。
乗車人員は、平成8年度の1億1697万人をピークに、以降は景気低迷の影響で微減。10年度は1億1430万人で、11年度も若干減少する見通しだ。建設中の3号線は、市内中心部の天神から西区橋本を結び、17年度の開業を予定している。
−今回、モデル事業が実施された2号線沿線の交通事情は。
山崎 2号線沿線は、西鉄バスとJR線が平行して走っているので、営業は厳しい競争下にある。国道3号線のバスレーン化などで、所要時間も短く便利になっている。このため、2号線の乗車人員は地下鉄全体の約1割にとどまっている。
−モデル事業の実施状況は。
山崎 今回のサイクルトレインは、2号線の呉服町-貝塚駅間の箱崎宮駅を除いた5駅で、11年11月下旬から12年1月までの日曜・休日の合わせて11日間実施した。その間、サイクルトレインの利用件数は合計44件。自転車の車両内への持ち込み台数は78台、1日平均7台だった。今回はエレベーター設置駅を選んで実施したが、市民の関心は非常に高かった。