−今年のNHK大河ドラマ「葵 徳川三代」に合わせて、「決戦関ヶ原 大垣博」が行われるが、まず大垣市について紹介していただきたい。
小倉 大垣博は、市の中心部にある大垣城を会場にして、3月25日から10月9日までのロングラン開催となる。天下分け目の最終的な戦いは、隣の関ヶ原町だったわけだが、決戦前夜までの三週間、西軍主力は大垣城、東軍は大垣城北西四キロメートルの岡山(現在のお勝山)に布陣し対峙していた。こうした歴史の転換期に登場するなど、大垣市を中心とした西濃地方には名所旧跡がたくさんある。
また大垣市は「水の都」でもある。地下水に恵まれた土地で、市内各所で自噴水がみられ、また揖斐川をはじめ河川の多いことでも有名。こうした豊かな自然条件から産業立地も盛んで、紡績、化学工業などで、戦後復興から高度成長へとわが国経済発展の一翼を担ってきた。それゆえに水質汚濁、大気汚染、悪臭公害を被った苦い経験もあるが、市民、事業者、行政の協力によって、いまでは清流と緑を取り戻してる。
−地域の交通事情と、その中で鉄道が果たす役割について。
小倉 市民生活や産業活動は、一言でいってしまえば自動車中心で行われている。マイカーが便利だから増える。そうなると、公共交通機関の利用者が減少し採算が悪化、運行本数が減り不便になる。環境的視点からすれば、こうした悪循環を断ち切らなければ、との思いは非常に強い。
鉄道は、JR東海道線に近鉄の養老線と揖斐線、第3セクターの樽見鉄道がある。産業都市なので、人口は昼間が夜間に比べ1万2000人ほど膨らむが、これら大垣に来る人および大垣から岐阜、名古屋方面に向かう人など、鉄道利用者はかなりの数にのぼっている。
JR大垣駅は橋上駅なので、JR東海が橋上からホームまでのルートにもエスカレーターを取り付けバリヤフリーにしたのは、たいへん嬉しく感謝し、評価もしている。しかし、昨年12月のダイヤ改正では、運行本数などで以前より不便になったところもあるので、引き続き改善努力をお願いしたい。JR線に比べ、近鉄線や樽見鉄道は利用者、運行本数ともに少ないが、通勤・通学に欠かせない足であり、名所旧跡をはじめ豊かな自然を求めて来る人にとっても、大切な公共交通機関だ。