4.4 アイドリングストップの有効時間に関する考察
本調査において、1台のガソリン乗用車および3台のディーゼル貨物車・バスを対象に、アイドリングストップの有効性について検討した。その結果、ガソリン乗用車についてはCO2および燃費に対して効果があるもののCOおよびTHCの排出ガスは悪化した。供試車両はヒータ無しのO2センサー付き三元触媒車1台のみであり、アイドリングストップが排出ガスや燃費におよぼす効果は必ずしも十分に特定することはできなかった。そのため、ガソリン乗用車については、一般的には人待ちや荷下ろし等で駐停車する場合にアイドリングストップを行うことが適当である。しかし、今後の排出ガス規制強化に伴い、ヒータ付きO2センサーの採用や触媒のエンジン近傍への配置等で、エンジン始動後の排気温度の上昇特性が改善されることにより、始動直後の排出ガスの悪化はある程度改善されることが予想される。
ディーゼル車については、アイドリングストップの排出ガスや燃費低減に対する有効時間は煤煙で決められ、小型ディーゼル貨物車で18秒、大型ディーゼル貨物車で39秒であった。両ディーゼル貨物車の結果から有効時間は39秒以上となるが、小型ディーゼル貨物車の18〜39秒までの効果が失われてしまう。そこで、都市内のアイドリング時間の頻度(図3.7)、積載量別保有台数(図3.2)および小型貨物車や大型貨物車の煤煙低減量とエンジン停止時間との関係(図4.7、図4.10)から、小型貨物車、大型貨物車および全(小型+大型)貨物車での煤煙低減量を求めてみる。図4.19からわかるように、全貨物車では10秒以上のアイドリングストップでも煤煙の低減に対して効果があり、30秒以上のアイドリングストップで煤煙低減に対して最も効果が大きい。