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イ) 集合住宅におけるカーシェアリング導入効果の検討…全世帯利用をベースに

集合住宅では駐車場の確保が各戸の平面構成、広さとともに重要な要素である。カーシェアリング導入効果は、全戸に駐車場を整備することは非常に過大な投資が必要なため高級マンションでしかかなわなかったことが、少ない駐車場スペースで全戸が車を使用することが可能になるという点である。住人だけでなく、事業者の販売戦略上の利点も非常に大きい。

既存の集合住宅では、駐車スペースを売却している場合は途中からの導入は組合等で買い戻しをしなければならず、現実的ではない。管理組合が駐車場を所有している場合は、比較的導入しやすいが、必要性が住民にあるかどうかは個別のケースでの状況次第である。

何れのケースでも、純粋なカーシェアリング運営は、所有台数の点で成立しがたい状況にある。しかしながら、一定規模以上のマンションでは管理組合があるので、そこが貸出の作業をするとして運営費を計上しないで、比較検討を行った。また、通常のカーシェアリングのサービスを考えるときは、周辺のカーシェアリング運営をスタートさせる方が経済的にも、運営上も可能性が高い。

○駐車場と建築行為の制度

・地上の青空駐車場は建築行為と関係ない。

建蔽率が50-60%の場合は、全戸に確保はできないがコストをかけずに、相当台数の駐車場を確保できる。ただし、イメージアップのための外構の緑地、オープンスペースの作り方との関係がある。(30-70%程度)

・総床面積の1/5以下の駐車場用途は法定許容床面積の対象外となる。

したがって、建築物内の駐車場一台あたりのグロスの面積は25m2程度あり、専有面積75m2(共有スペースを含むグロス面積100m2)程度では、容積率を車のために減らすことなく、最大限の販売用の住戸床面積が利用できる。ただし、駐車場一台分の建設費は400万円以上となる。このケースでは、建設コストもかかり、高級マンションとされ事業化されている。

(400%の容積率の場合100%分は許容床面積に駐車場の床面積は参入する必要がない。)

・駐車場付置義務(地域によっては義務づけられている)

地域によっては、販売戸数に対して一定割合の駐車場付置義務がある。周辺の土地に対して駐車場の需要を分散することにより土地利用の無駄を生じさせないための対策。

○集合住宅の開発建築物と駐車場確保の実態について

次のページの表は、この1年ほどの間に東京都内の一般向けに宣伝されている、マンション販売例の中から一般的なものとして抽出したものであるが、これらから一般的傾向が多少読みとることができる。

不動産販売事業では、物件の周辺地区環境を考慮した住戸のレベル設定と同時に、現実的には建築敷地条件により大きく左右されている。この表からは、概ね価格帯が6000万円超のものを高級としたが、このクラスでは全戸に駐車場があることが条件で販売価格も一段と高価となっている。それ以外は、敷地条件

●集合住宅のタイプ別の駐車場確保等の傾向とカーシェアリング導入効果の想定(東京のマンション例より)

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