2-2 新しい車利用の試み…車の共同所有・共同利用
車は走行時も、それ以上の時間を駐車するときも膨大な都市空間を浪費している。一日のわずかな時間しか利用していない現状では、個人が一台の車を所有することは、都市空間の効率的利用、資源の面からも問題がある。
こうした個人所有の形態から、車を共同で利用、あるいは共同で所有することにより、車の絶対量や交通量を削減し交通渋滞の緩和や、車に占拠される都市空間を削減しそのための施設整備費も軽減することができ、環境問題にも効果があると期待されている。
これらは、個人所有の自家用車と公共交通との中間的な位置付けにあると考えられる。
1] 相乗り…<旅行の共有>
あらかじめ2人以上の利用となるようセットされたもので、家族以外の他人の車を非定期的に共同利用するシステム。利用者グループは、その都度あるいは組織の助けがあって構成される。
・単なる相乗り…自分所有の車を持つ運転者が旅行を保証する。
・交互の相乗り…それぞれの旅行者が順番に自分の車で旅行を保証する。
2] 時間的な共同使用
もともとは一台の車を共同所有し共同で相互に利用するものであっただろうが、最近では次第に組織化されて、組合形式、企業の運営、あるいは新しい形の公共交通として公営で運営されるような形式まである。
・カーシェアリング…車共有・共同利用
多くの不特定の人(組合員、会員等)により一台の車を引き続き短時間利用しつづけることに基づくシステム。多くは保証金等と利用時間あるいは走行距離で精算する。
あまり乗らないが車を使いたい人、車の所有やメンテナンスから逃れたい人に便利。
・自動セルフサービス公共レンタカー…個人利用の公共交通システム
自由に使える車を街中に配備し、特定の駐車スペースから使いはじめ戻す条件が運営上条件づけられることが多いが、好きな時に自由に自分の車のように使えるシステム。公共交通の一環と考え行政主導のプロジェクトとして実験が各所で試みられている。自分で運転するが、バスとタクシーの中間的な都市交通として期待されている。
3] タクシー
ドアツードアあるいは駅からの利用を保証する運転手のいる車。
・乗合いタクシー
出発地が同じか、目的地の異なる、あらかじめ決まったグループでない2人以上で共同利用するタクシー。多くはトラックの改造かバン型の車を使い発展途上国の一般市民の足となっている。
・デマンドタクシー
指定されたルートあるいは要望によってコース変更をするサービスの車、ミニバス
・マルチサービスタクシー
利用者のカテゴリー、サービスルート等、様々な利用者に対応するためのタクシー
(ハンディキャップの人々、市場や商店街の連絡、公共交通の補充、深夜等のため)