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イ) 歩行者中心の都心空間

・ゾーンシステム・ゾーン30(コミュニティーゾーン)等

時間をかけて作られてきた都市の中心部は、都市施設も充実し、都市活動も活発で建物も人口がもっとも集積しているのが本来の姿であるが、車主体の都市では、高密度では車が使えず集積よりも分散し、むしろ空洞化の傾向が認められる。

最も都市施設が充実し商業活動等も活発な都心部を継続するためには、空間効率の悪い車ではなく最も効率がよく都市活動の主体そのものでもある歩行者中心の街でなければならない。クルマ社会の中でこうした歩行者中心の都心空間を実現するためには、交通計画上の工夫が必要であり、既存都市ではゾーンシステムあるいはセルシステムという考え方が有効である。ブレーメン(独)、ミュンヘン(独)、ケルン(独)、あるいはオーストリアのウイーン、スエーデンのイエテボリなどで都心部における車優先の行き過ぎを危惧して60年代中頃から採用され、今では世界中で一般的な都心部の交通計画となっている。

一方、ゾーンシステムのように一定地区を歩行者専用空間としにくい街でも、歩行者優先の都市空間とするため、車と歩行者を混在させるものの速度を30km/h以下とすると安全性が高まることから地区全体を面的にゾーン30とする方法も近年普及してきた。

●イエテボリのゾーンシステム (資料:都心交通の改善 トヨタ交通環境委員会)

環状道路より分岐する各ゾーンへの出入り口は限定されている。また、ゾーン間の境界には、市街電車が通り自動車交通の横断を禁じている。

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'70年に決定したトラフィック・ゾーン・システムの原理

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a 通過交通を排除する。

都心部の内、内交通のうち比較的長いトリップを他の交通と分離する。

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b 都心部の内、内交通を分離する。

●ナント(仏)…都心部52ヘクタールのゾーン30(歩行者優先の歩車共存)地区

(資料:PLAN DE DEPLACEMENT URBAINS)

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