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はじめに

 

本報告書は、「エコ交通に関する調査研究」についての検討結果をとりまとめたものである。

21世紀を間近にひかえ、世の中は大きく変わりつつあり、交通の分野においても、従来の速くて安全な交通機関を追い求めるだけでは、時代の要請に応えられなくなってきている。

個人個人が乗用車を利用する20世紀の化石燃料大量消費型社会から、バス、鉄道等の公共交通機関の活用、自転車の利用、都市への自動車乗り入れ制限、あるいは近距離移動のための小型乗用車の共同使用など、環境に配慮した新しい交通システムへの転換が求められている。こうした考え方に基づく交通を「エコ交通」と称して、その概念、位置づけ、役割、あり方等を検討した。

さらには、車の利用方法の新しい概念として、住民で自動車を共同利用するシステム(カーシェアリング)が、欧州各地で増加しつつあり、日本国内でも自動車メーカーが中核となって、実験が開始されてきている。こうした個人所有の形態から、車を共同で利用あるいは所有することにより、車の絶対量や交通量を削減し、交通渋滞の緩和や車に占拠される都市空間を削減し、そのための施設整備費も軽減することができ、環境問題にも効果があると期待されている。本調査では、この自動車共同利用システムについて、自転車の共同利用システムと合わせて重点的に調査を行った。

調査に当たっては、学識経験者、環境NGO、産業界、公団、関係省庁の方々からなる「エコ交通に関する調査研究委員会」を設け、指導・助言を頂きながら推進した。太田委員長はじめ、委員の皆様方ならびに調査にご協力いただいた多くの皆様方に深く感謝を申し上げる次第である。

本報告書が、広く関係者の皆様方に活用され、環境にやさしい交通の実現を目指す方々の一助となれば幸いである。

 

平成12年3月

交通エコロジー・モビリティ財団

会長 大庭 浩

 

 

 

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