1 調査研究の目的及び全体構成
1.1 調査研究の目的
国内物流分野は、我が国の経済活動において大きなウエートを占めるとともに、あらゆる産業分野において物流コストの削減による国際競争力の強化が求められていることから、その効率化の推進はCO2排出量の削減による地球温暖化の防止のみならず我が国経済の発展にとっても極めて重要である。
このため、運輸交通の分野における地球環境事業の将来ビジョンを作成する上で必要となる、地球温暖化防止対策の費用対効果に関する検討の一環として、現在海上交通システムが提供するサービス速度と貨物が必要とする輸送速度との間にギャップが存在することにより海上交通へのシフトが進まない雑貨、生鮮食料品等の高速貨物の物流について、海上輸送モードへのシフトを促進するための方策とその費用対効果等を検討することは、運輸交通分野における地球温暖化防止への取り組みの中で重要な課題の一つである。
そこで、高速貨物の物流量やその特性を踏まえた適確な輸送ニーズの把握と、新技術を活用し当該輸送ニーズに適合した最適な新海上交通システム(高速RO/RO貨物船、フェリー等を用いたトータルで効率の高い輸送システム)に関するフィジビリティスタディを実施し、併せて当該システムの導入によるCO2排出抑制効果とその費用について検討を行うことにより、運輸交通分野における地球温暖化防止への取り組みに資することを目的とする。