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運輸省調べでは、平成10年度末に全国で1,424両の福祉タクシーが導入されている。さらに、乗務員が2級ホームヘルパーの資格等を取得して、運転以外の介助サービスを付加した介護タクシーも普及し始めている。全国では29事業者(東京交通新聞調べ)が営業を開始しており、今後も増加する見込みである。福岡県のタクシー協会では、業界ぐるみでドライバー向けのホームヘルパー資格取得講座に取り組み、県下の66事業所が参加している。

一般のタクシーでは、ワンボックス車両にリフトを備えたユニバーサルタクシー(資料1)が運行を始めている。利用方法は通常のタクシーと全く同様で、車いすが乗車しない時は7人が乗車可能である。複数人で利用できるなど、リフト装備以外にもメリットがあるため、需要が拡大している。

 

4-2 制度の特徴の整理

 

(1) アメリカとカナダにおける交通のアクセシビリティに関する政策の特徴

 

アメリカとカナダにおけるアクセシビリティ政策の特徴の概略を表4-2-1に整理した。

アメリカでは公民権として交通のアクセスの問題が取り上げられてきた。ADAで包括的に差別を禁止する規定を設け、交通分野においても詳細な規則と数値目標(車両数や期限)を設定した。交通事業者の具体的なアクセシビリティ対策は、運輸省のADA規則に対応するかたちで進められる。利用者からADAに対応していない旨苦情があった場合、通常は当事者間で解決を図るが、合意に達しない場合は訴訟に至ることもある。

 

表4-2-1 アメリカとカナダのアクセシビリティを支える法制度面の比較

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カナダでは、人権という観点から、交通のアクセシビリティ対策が取り組まれている。「障害者を含む人々のモビリティに対して過度の負担を引き起こさないような、運賃、レート、条件のもとで交通を運行することが求められる」というカナダ交通法の規定がある。アクセシビリティ確保の出発点が、人権という観点であることは、アメリカに類似している。

 

 

 

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