a. スカイトレイン(Sky Train)
バンクーバー市からサーレー市までのおよそ28km、全20駅を39分で運行する(図3-4-6)。バンクーバーの中心部を抜けると高架で見晴らしのよい線路を走行することから、空中を飛んでいる様子にたとえて名付けられている(写真116)。長距離、無人運転、高速運行をコンピュータ管理により実現している。
チケットは駅入口(路面レベルのコンコース)、プラットホーム上の券売機で購入できる。しかし、券売機のコインの投入口が高く、車いす使用者にとって利用が困難であった。駅、車内とも無人だが、検札や安全管理のため、時おり係員が駅や車内を巡回している。
現在は1駅(「グランビル」)を除いて、エレベーターが設置されており車いすなどでもホームに上がる事ができる(写真115、119、124)。乗車時も車両とホームの間の隙間が狭く、段差がほとんどないため車いすでも自力で乗降できる(写真119、121、122)。ドアの横に跳ね上げ式の座席が設けられており、これにより車いすのスペースが確保される。壁に背当てを向けて、進行方向に対して90度に向いて乗車する(写真120)。車いす固定装置は装備されていない。
スカイトレイン以外の鉄道では、ダウンタウンとミッション市間を通勤時間帯に運行しているWest Coast Expressが95年からアクセシブル化された。
b. シーバス(Sea Bus)
シーバスは400人乗りの旅客専用の高速フェリーである。バンクーバー市の中心部であるウォーターフロントから、北バンクーバー市のロンズデール・キーまで、およそ15分で連絡する(図3-4-6)。ウォーターフロント駅では、スカイトレイン、バスと接続し、ロンズデール・キーでは北部のローカルバスサービスと接続している。15分から30分間隔で運航されている。
乗船、および船内とも100%アクセシブル化されている。乗船時には6ヶ所の乗船口に渡板が渡され、車いす、ベビーカー、自転車(乗船可)が容易に乗り込むことができる(写真130、131)。桟橋は浮き桟橋で、桟橋までの渡り通路が潮の干満で変化する高さを調整している。そのため、若干のギャップが生じている。車いすの船内の位置は、図3-4-7に示すように出入口の横に確保されている。車いす使用者にとっては狭い船内を自由に移動できないため、景観を楽しむことがやや難しい。
ウォーターフロント駅におけるスカイトレインとの接続は、車いすではスカイトレイン地下ホームからエレベータで上がり、シーバス乗り場まで移動することができる(写真126)。また、車いすや自転車のための改札口が設けられている(写真129)。
今後、北部地域の人口が増加するにつれて、さらに利用者数がのびると予測されている。