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また、地域の固定資産税を徴収することができる。将来的には、さらに自動車税、および新たに建設される交通施設の利用料金を徴収する予定である。他には、地域の道路交通網、3本の橋梁、フェリーの運航についても管理を行っている。州政府では、既存のスカイトレインおよびWest Coast Express(通勤鉄道)の運営費のための起債を行っており、さらに延伸されるスカイトレインについてもコストの一部負担を行う事に合意している。

トランズリンクの経営では、特定目的税(dedicated tax:例えば交通の整備に充てると言う名目で課税する)が、運賃と並んで重要な財源になっている。こうした税の徴収は米国では一般的であるが、他の連邦国家ではあまり一般的ではない。議会制度の伝統から、税金はいったん国庫に集められ、議会によって承認された年次予算に基いてのみ、配分されるからである。こうした税金で事業を行う場合、将来の計画においてその実現可能性を財政的に、より確実にすることができるというメリットがある。

現在の課題は、将来的に収入の落ち込みが考えられることである。トランズリンクでは事業拡大のための資本投下の目的での借入金は認められているが、運営について会計上の赤字を出す事は認められていない。運賃収入と税収で維持しなければならないため、先に延べた自動車税、有料駐車場の料金、道路、橋の通行料、運賃の値上げなどを組み合わせて対応する事を検討している。

 

4]ブリティッシュ・コロンビア州の交通局(BC Transit)の役割

 

a. BC Transitの位置付け

 

BC州全体を管轄していたBC Transit(ビーシートランジット)も従来通り、バンクーバー都市圏を除く地域の交通に責任を負っている。BC Transitの受け持つ領域はGVRD以外の地方自治体の交通と州都ビクトリアのバス運行である。ここでは現在のBC Transitの概要を若干述べる。

BC Transit、地方自治体、交通事業者の関係は図3-4-2の通りである。交通機関の運行は契約ベースで行われている。BC Transitは運行管理とサービス計画を立て、契約の交通事業者はドライバーの派遣とBC Transitから貸与された車両のメンテナンスを行う。運賃やサービスの水準を決定するのは地方自治体ごとのMunicipal Committee(自治体ごとの交通委員会)である。運行に際して連邦からの補助は一切無く、運賃収入と、地方税、州税で賄われる。州からの補助率は自治体の規模(財政基盤)に応じて決められている。

 

 

 

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