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(4) 個別交通(アクセシブルなタクシー)

 

1]タクシー利用の概況

 

a. 高齢者・障害者のタクシーの利用実態

 

カナダの障害者は、長い間、移動のために従来のタクシーを利用していた。標準サイズの車両は、車いすと手荷物をトランクスペースに収納できるため、タクシーは他の輸送手段と競合することができた。1995年におけるタクシー市場は、TransAccessTM Information Baseの推定では、表3-3-9の通りである。

アクセシブルなタクシー車両は、1983年のバンクーバーにおけるプロトタイプの開発に始まり、1989年以降のケベック、オンタリオ、アルバータでの導入によって普及し始めている。

アクセシブルな車両の導入により、公共交通としてのタクシーの有用性が高まっている。タクシーは地方では、利用可能な唯一の公共交通手段であることが多い。ケベック州交通局では、タクシー事業のコントロールを一元化し、乗客輸送システムとして位置づけた。特に過疎地域における乗合タクシーサービス政策を推進し、過疎地域のモビリティを確保している。しかしながら、行政を全般的に見ると、タクシーの相乗り利用による交通手段としての重要性が理解されておらず、公共交通として交通政策に位置づけられていないという課題がある。

 

表3-3-9 高齢者・障害者のタクシー利用の概況

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2]アクセシブルなタクシー車両の普及

 

a. アクセシブルタクシーの市場

 

カナダのタクシーライセンス(後述)は許認可方式で発行される。発行数は、カナダの都市人口およそ800人に対して1ライセンス(台)である。実際にサービスを行っているタクシーの数は、これを下回ると考えられる。現在、国内のタクシー台数は約3万台と推測され、1995年時点では、この台数のうちおよそ1%未満が車いすでもアクセシブルな車両とされている。

現在、アクセシブルな車両が最も多いのはバンクーバー地域である(普及率約6%)。いくつかの実証研究によると、ほとんどの都市では、全許可台数のうち5%程度のアクセシブル車両が、移動ニーズを満たすために必要であると推測されている。全国のタクシー保有台数の5%をアクセシブル化するには、約1,500台の車両が必要である。標準的な3年間の買い替えサイクルに基づいて、毎年50台の新しいアクセシブル車両が必要とされる。

 

 

 

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