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交通事業者のコード・オブ・プラクティスヘの対応状況を点検する目的で、3年ごとに詳細なアンケートにより実施するモニタリング制度を導入している。モニタリングの結果は諮問委員会に報告される。必要がある場合は、コード・オブ・プラクティスの改正が行われる。改正は、諮問委員会の議論を踏まえ、CTAが改正案を作成の上、一般に公聴し決定するプロセスを踏んでいる。

コード・オブ・プラクティスは、違反に対して厳しい罰則規定が設けられておらず、あくまでも任意規準である。利用者と交通事業者の間でトラブルが生じた場合は、基本的にはネゴシエーションにより、双方が歩み寄るかたちで解決が図られている。

 

3]その他の組織

 

これまで、運輸省の直轄の組織の役割について述べてきた。上記以外では、事業種別ごとの業界団体における交通のアクセシブル化への取り組みが挙げられる。ここでは全国レベルの輸送に関する主要団体の取り組みの概況を『Making Transportation Accessible』より要点を抜粋して述べる。

 

a. カナダ・バス協会

 

カナダ・バス協会(CBA: Canadian Bus Association)は、カナダの多くの都市間バス事業者を代表し、障害者へのサービスを向上させる上でバス運行業界のリーダーとして機能している。オンタリオ・モーター・コーチ協会(OMCA)をはじめとする州単位のバス協会も、州内の多くの事業者を代表し同様の機能をもつ組織として活動している。CBAは、運輸省の支援を受けて、加盟企業向けに完全なアクセシブル化を目指した従業員のトレーニング・プログラムを開始した。このプログラムは、Acadian Lines社(SMT)、Voyageur Colonial社、オンタリオ・ノースランド交通委員会(Ontario Northland Transportation Commission) (ONTC)、サスカチェワン交通局(Saskatchewan Transportation Company) (STC)、およびグレイハウンド等で実施されている。CBAは、また、アクセシブルなバス・サービスについての調査も実施している。

 

b. カナダ都市公共交通協会

 

カナダ都市公共交通協会(CUTA: Canadian Urban Transit Association)は、カナダの都市公共交通界を代表する全国レベルの協会であり、運行業者、同業界に補助金を提供する政府機関、部品供給事業者、製造業者、コンサルタント、教育機関、および公共交通に関心をもつ個人により構成される。

同協会は、研究、事業者および利用者のトレーニング、交通行政に関する有益な各種サービスを提供し、交通のアクセシビリティに関する問題を取り扱う唯一の全国レベルの協議組織である。また、カナダにおけるアクセシブル交通サービスに関する、公認された統計データおよび情報の発信元でもある。加入する事業者からのデータ収集により産業指標を算出し、業界の傾向をモニターしている。さらに、接遇教育プログラム(センシティビティ・トレーニング・プログラム)の開発、ノンステップバス・テクノロジー研究の資金提供、国内基準策定の補助、文盲者のニーズについての調査を実施している。

 

 

 

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