その後も1995年には302台のリフトバス、1997年には162台のローフロアバス(低床車)が導入された。また現在のアクセシブル化されていない車両については2006年までにローフロア車に入れ替えられることになっている。
オンタリオ州では、ローフロアバスに限定した補助、ターミナルの整備に関する補助、さらにアクセシブルタクシーの車両購入補助が実施されている。
アルバータ州では「2000年までに地域(基礎自治体)と州内の交通ニーズに対応するバリアフリー交通システム」を達成することを明記したアクションプランが1989年に発表されている。
(6) 地方自治体レベルの取り組み
自治体レベルでも、アクセシブルなバスやバンなどの提供、駐車場における優先枠の設置などを中心に対策が進められている。特に大規模な自治体では、メインストリームのアクセシブル化対策が進んでいる。例えば、オタワのOC Transpo(オタワ市交通局)では1994年から独自のプランを策定し、バス車両の低床化、バス専用道路であるトランジットウェイのターミナルのアクセシブル化に取り組む事を発表している(写真155〜159)。
(7) 運輸省関連組織の役割
1]交通開発センター(TDC: Transportation Development Centre)
a. 組織概要と目的
交通開発センター(以下TDC)は、1970年にTDA(Transportation Development Agency)としてカナダ運輸省により設立され、モントリオールに本部を置く、同省の中心的研究開発機関である。
その目的は、交通システムの安全性の確立、アクセシビリティの向上、環境の保護にある。運輸省の戦略目標を達成すべく、技術的能力の強化、交通の技術革新を促すことである。
組織構成は、エグゼクティブ・ディレクターを筆頭に、エンジニア、プランナー、エルゴノミスト(人間工学者)、およびエコノミストの複合チームを形成している(図3-2-1)。研究ライブラリーおよび出版部門があり、情報およびコミュニケーション・サービスを提供する。スタッフは50名で、現在は100以上のプロジェクトが進行中であり、98年度のプロジェクト基金はおよそ1,000万ドルである。
研究の主要テーマも、70年代の短距離離着陸機の開発、80年代の低燃費車、代替燃料の研究から90年代は安全、アクセシブル、効率的な交通の研究開発へとシフトしている。
TDCのアクセシビリティに関する研究開発および技術移転の取り組みは、障害者を支援するために考案された様々な技術やシステムの改善に貢献している。例えば、車両の更新を期に、ノンステップミニバス、バスの視覚コミュニケーション・ネットワーク、アクセシブルな都市間バスおよび航空機の搭乗装置等が挙げられる。