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実際の事業は、MBTAが4つの地域別事業者と契約を結び、各地域別事業者が車両の運行をおこなっている。MBTAのサービスエリアは、ボストン市域(近隣の都市も含む)と、その周辺の77市町を4つに分けた、計5つの地域に分けられ、各地域別事業者はボストン市域と4つの周辺地域のうちのひとつを事業の対象とする契約である(図2-4-5)。現在はボストン市域と周辺77市町のうちの62で運行しており、さらなるコミュニティの拡張を求めている。

運行システムについて、一契約事業者であるグリスを例に述べる。グリス(GLSS : Greater Lynn Senior Service Corp.)はMBTAと契約しているパラトランジット事業者のひとつであり、ボストン市域と北東部が対象地域である。表2-4-4にグリス社のピーボディ市営業所の運行データを示した。

 

表2-4-4 GLSS社によるピーボディ市営業所のザ・ライドの運行概要

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車両数は、事業者に貸与されているMBTA所有車両が270台、事業者所有車両が110台である。車両の多くは車いすが乗車できるリフト付バンであるが(写真67、69)、その中で100台の4ドア乗用車をザ・ライドのサービスに用いている(写真68)。これは、このサービスの顧客の3/4が歩行可能なためである。ちなみに車両の購入費は、バンが35,000ドルに対して、乗用車は16,000ドル程度に抑えられる。

各車両は配車センターと無線で結ばれているが、今年度から、センター側でGIS(地理情報システム)データベース、車両側でGPS(位置測定システム)センサを持つ自動応答端末を配備することにより、スケジュール決定後の配車管理を自動化する予定になっている(写真71)。

MBTA全体では、利用件数は2年前の80万件/年から、現在では120万件/年に達している(ADA制定前比250%増)。利用登録者は45,000名である。

グリス社がMBTAから請け負っているサービスの契約額は、2,400万ドル/年である。2000年度の概算要求では、2,370万ドルを見込んでいるが、これはADA後、190%増の値である。

 

 

 

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