また、そうしたプラットホームを設置してないところでは移動できる手動式のリフトで対応している。これはカルトレイン、ボストンのMBTA、アムトラック等、鉄道事業者では一般に広く採用されている方法である。新型車両の車内は連結部を含めて車いすでも移動可能である(写真16)。
なお、バスについては1998年11月時点で市内の65%(290台)の車両がリフト付である。
c. パラトランジット
MUNIでは他の公共交通事業体と同じくパラトランジット・プログラムを実施して高齢者・障害者専用の交通手段を提供している。サンフランシスコのパラトランジット・プログラムはおおまかに3つの種類がある。利用件数は年間で90万件以上の実績がある(表2-3-5)。ちなみにMUNIの通常の公共交通システムにおける、車いす使用乗客のトリップ数は年間で7万2千件である。
もっとも一般的なサービスがタクシープログラムである。8つのタクシー会社とMUNIが委託契約し、600台強のタクシー車両が運行されている。近年はどこの公共交通事業者でも共通しているが、歩行が可能な利用者が多く、セダン型のパラトランジットを提供している事例が多い。次に、グループバンサービスは、7人以上のグループ利用に供されるサービスである。まとまった利用のため効率的である。通常は市の社会サービス局、または福祉団体等を通じて利用する。3番目のリフトバンサービスは最も利用回数が少ないが、これはタクシーサービスが利用できない重度の車いす使用者などが対象となっているためである。グループバンやリフトバンは主として民間会社およびボランティアによるバン会社によって運行されている。
d. 運賃割引等の制度
高齢者・障害者の利用の便宜を図るため割り引き運賃制度がある。詳細は表2-3-3に記載した通りである。
3]湾岸地域高速鉄道(BART)の事業概要
サンフランシスコ湾岸高速鉄道公社により1972年に開業したBART(バート)は、都心部の地下路線を含め、路線長153km、5路線、39駅で運行されている(図2-3-1)。年間で7,000万人を超える輸送実績を持つ。