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(2)円滑性

高齢者・障害者等の海上交通利用における円滑性とは、理想的には高齢者や障害者等が海上交通を利用する際に、動線に沿った各行程及び副次的行程において、高齢者や障害者等が介助なしで移動が可能でありかつ高齢者や障害者等が身体的負担の少ない方法で移動が可能であることをさす。しかしながら、現状の技術では高齢者や障害者等の移動の安全性を確保するために介助者がつくことが望ましいと考えられる場合には高齢者や障害者等が身体的負担の少ない方法で移動が可能であることとする。

 

(3)快適性

高齢者・障害者等の海上交通利用における快適性とは、移動制約のない一般の利用者と同水準の移動や施設利用を可能とすることにより、高齢者・障害者等が可能な限り制約を意識せずに海上交通を利用できることをさす。

 

海上交通への様々な利用目的に対応できること

 

海上交通は、離島と本土とを結ぶ生活の足として利用される離島航路から、船旅を楽しむことを目的とした長距離航路まで、様々な利用目的があり、また、同一の航路であっても利用者により利用目的は異なっている。利用目的の違いによって、船舶や旅客船ターミナルに求められる機能は異なるものと考えられる。

たとえば、生活の足としての利用目的においては、利用者の行動は乗船・着席・下船といった基本的な行程に限定されることが多く、航行中に船内移動を必要とするケース(副次的行程)はトイレ程度と考えられる。一方で、観光目的での利用や長距離フェリーでは、船旅を楽しむニーズがあることから、航行中の副次的行程は、トイレのみではなく食事、入浴、娯楽室の利用、遊歩甲板に出て景色を眺めるなどがあげられる。

このように海上交通に求められる利用目的は様々であると考えられる。海上交通の整備にあたっては、どのような利用目的においても安全、円滑かつ快適に海上交通を利用することができるよう、様々な行程について整備することが望ましい。

 

海上特有の要因の中でより実効性の高いバリアフリー状況が確保できること

 

旅客船ターミナル、乗降施設、船舶等の海上交通施設は、フェリー・旅客船等の船種、船舶の規模等の違い、地形、海象や潮位の変化、波浪による揺れなどの海上特有の要因の影響を受ける。

こうした海上特有の要因は、航路毎に異なるため、画一的なバリアフリー施設の整備では、必ずしも実効性の高いバリアフリー状況が実現されるとは限らない。例えば、本土と離島を結ぶ航路では、本土側ではボーディングブリッヂを使用して乗船行程のバリアフリーを実現可能であるが、離島側では地形、海象の関係からボーディングブリッヂの整備ができないため、タラップ等のバリアフリー整備が必要なケース等が考えられる。

 

 

 

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