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(2) 軽量化ホームドアの開発

水平荷重980N/m(100kgf/m)の軽量化ホームドア本体は、2450N/m(250kgf/m)に比較して重量比20〜30%の低減を図ることができた。これにより、ホームドア建て付け前の締結部加工、取り付け方法の軽減、ホームドア搬入作業の容易化、設置作業の効率向上の効果が見込める見通しを得、より低コストで設置する方策を見出すことができた。

 

(3) ホームドアの設置方法の簡易化

ホームドアを安価に設置するためには、ホームドア本体を安価に設計・製作する他に、いかに既設駅に容易に設置するかという設置方法について検討する必要がある。

これに際して、ドア強度、特に水平荷重について現状採用されでいる2450N/m(250kgf/m)、980N/m(100kgf/m)の根拠を調査し、それに対応するホームドア本体の開発をして、それを既設駅のホームをいかに設置するか、ホームドアをいかに締結するかという設置の方法について机上検討を行った。これにより、締結方法について簡易方式が適用できる可能性が見出せた。

 

(4) 異種車両対応方式の提案

既設線ではドア位置やドア数の異なる車両が混在して走行する路線がめずらしくないので、これに対応するホームドアの検討を行ない、方式案を示した。その多くはアイデア段階の提案であるが、異種車両であっても条件や考え方によっては、その実現が必ずしも不可能でないことを示すことができたと考える。

なお、さらなる具体化については、路線毎の特殊性や条件の考え方が一通りでないことでもあり、個別に進めていく必要があると考える。

 

(5) 安全確保方策の提示

ホームドアの設置は乗客の軌道への転落防止等安全対策となるが、ホームドアの設置によって新たに発生する不安全要因について着目し、その洗い出しと各項目に対する安全確保策案を現在考えられる範囲で示した。さらに、ホームドアの導入検討時の諸問題対応として、停車時分とラッシュ時の混雑駅対応策についての提言や、幅狭なホーム通路幅付近でのホームドア設置への配慮の必要性について言及した。

 

6.2 今後の課題

これまでの研究開発において上記に示した成果を得たが、今後さらに既設線にホームドアをより広く普及していくために必要と思われる課題を以下に示す。

(1) 既設駅では、盛土式の代表例だけでも数種類あるなど様々なホーム構造がある。

それぞれに対応した既設駅でできるだけ短時間で安価にできる施工方法の深度化とその確立。

(2) 性能面等でさらなる割きりも考慮するなどして、より安価軽量で簡易な設置ができるような新たな機構や方式の検討とその深度化。

(3) ドア位置やドア数の異なる様々な車両に対する安価なホームドアのハードおよびシステムの具体的な検討とその深度化。

 

なお、普及促進には、ホームドアを広く認知してもらう為の幅広い活動が効果的である。そのためには、盛土式等の具体的施行方法を早期に確立し、鉄道事業者の協力を得てデモンストレーションすることが効果的な方法の一つと考える。

 

 

 

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