(1) スキーなど長物をホームドアに立てかけることによる触車
固定柵高さ1100、1200、1300mmの試験(出典: 「鉄道における視聴覚障害者に配慮した誘導方策に関する調査報告書」、平成10年3月、財団法人鉄道総合技術研究所による)では、スキーを寄り掛ける、鞄を背負う等荷物については、はみ出し幅は300mm以内に収まっている。
建築限界内方への荷物のはみ出し等は本来抑制されるべき事項であるが、荷物のはみ出しを考慮すると、車両限界との離隔距離は300mm以上が望ましい。
(2) ホームドアから身体を乗り出すことによる触車
ホームドアヘの寄り掛かり、持たせ掛かり、ホームドアからのはみ出し等の行動は、基本的には旅客の責任であるが、あまりに容易に触車してしまう寸法はさける必要がある。
固定柵高さ1100、1200、1300mmの試験(出典: 同上)では、はみ出し幅は「寄り掛かる」で200〜300mm、「覗く」では200〜600間で幅があり、高さ1100で300〜600mm、1200で200〜400、1300で200〜300mmとなっている。
固定柵の実績例(東京モノレール、東急池上線)では、1200mmである。
以上より、ホーム側旅客の安全から必要な高さはおおよそ1200mm以上が望ましく、車両限界との離隔距離は400mm以上が望ましい。
また、デザイン面でホームドアに寄り掛かりにくくする配慮が望ましい。
(3) 列車窓から身体を乗り出すことによるホームドアヘの接触
車掌の出発監視時に接触する高さでないことが必要で、おおよそ1300mm以下が望ましい。
(4) ホームドアに缶ジュースなどを置くことによる異物落下
鞄や缶などの載せ掛けによる異物落下の防止の観点からは、ホームドアの頂部形状を載せ掛けにくい形状とすることが望ましい。
(5) ホームドアの寄りかかりに対する強度
今回、ホームドア頂部(1200mm〜1300mm)での強度を水平荷重として980N/m(100kgf/m)と、2450N/m(250kgf/m)に設定し、その試作機による強度確認と、委員の意見をアンケートの形で集計した。
アンケート結果からは、水平荷重2450N/m(250kgf/m)の試作機は強度上十分であるという意見が多く、水平荷重980N/m(100kgf/m)の試作機は強度上適当という意見が多かったものの、不十分との意見も若干あった(巻末参考資料(2)参照)。
(6) 台風などの強風に対する強度
列車の運行条件や、路線における最大風速等を勘案した風荷重を設定し、強度設定することが望ましい。ただし、ドアの開閉動作のための条件については、開閉動作は列車がホームに停車中に行われるので、最大の風速条件にすると過大であろう。
(7) 車両床面とホーム床面との段差に気付かない(2枚ドア間の段差)