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5.ボランティア活動支援における将来の方向性

1]事務局活動をはじめとしたボランティア自身による自主的活動を目指す

2]児童館事業への参加だけではなく、それぞれが地域の活動などへと参加の幅を広げ、巣立っていくことを目指す

 

活動の成果

◇中目黒児童館におけるボランティア育成活動のながれ

中学校から山手通りを渡ってすぐという立地条件もあって、平成4年の開館当初から中学生の利用が多かった。その子ども達とのつながりから、中学生のプレイルーム優先利用の保証というながれが作られてきた。この伝統は現在も受け継がれており、中学生にとって自分たちの居場所のひとつとして定着している。

また、平成7年度に障害者の児童館利用が継続してあり、そのことがきっかけで障害者の社会参加の場としての児童館ボランティア活動の発想が浮かんだ。

さらに、常連だった中学生が高校、大学生へと成長していくにつれ、彼らと児童館との関わりを探る中から児童館ボランティア活動の構想を練っていった。

平成9年度にはボランティア活動の具体化に向けて整理を進め、『ボランティア活動の位置付けと展開』ができあがった。

平成10年度、ボランティアの会ドリチルを正式に発足させ、6月には発足会の開催、11・12月には住区、小学校PTAとの共催行事においてドリチルの紹介がされ、存在をアピールできた。また一方では、ボランティアの会の自主的な運営に向けて事務局を設置した。メンバーを事務局長、副事務局長、アドバイザー、顧問(職員)で構成し、毎月定例の会議をもち、通信事務や親睦会の企画準備をおこなった。しかし、高校生のメンバーは気持ちが乗らないことがしばしばあり、実際にはなかなかねらい通りには進まなかった。

平成11年度はこうした状況を踏まえ、システムの確立を急ぐのではなく、いろいろな方法を模索しつつ事務局の自主的運営を目指すという基本方針を確認し、事務局の運営は職員がおこなうことにした。そのなかで通信事務については、それまで各行事への参加依頼のチラシ程度だったものを、活動の様子などのトピックスも載せるなどして内容の充実をはかった。そしてそれを機に、平成7年度より不定期に発行していた『中学生ニュース』に換えて、中目黒児童館ボランティア通信『ドリチルNEWS』を住区内中学校の全校生徒に配布することにした。

また、ドリチル全体の雰囲気として、月例行事やえん日において、障害者のボランティアがごく自然に入ってともに活動したことや、毎回目標をもって参加する者、登録はしないけれど最後まで責任をもってやり遂げる者、友達に誘われてなんとなくきた者、と様々なメンバーがそれぞれ受け入れられていることなど、誰もが無理なく自分のやり易いことからすればよいという児童館ボランティアのスタイルが定着してきた。

 

今後の課題

ドリチルが正式に発足してから約2年であるが、青少年の登録は少しずつ広がっており、ある程度の成果が得られ、軌道に乗ってきた。今後ボランティア自身による自主的な運営、さらにドリチルの児童館からの独立を視野に入れておくが、形の完成を追及するだけでなく、未熟であっても自分達の意志で無理なく楽しく活動し、それが社会参加への第一歩を踏み出すきっかけへとつなげるという基本理念を大切にして、気長に活動を続けていく。

また、児童館利用者の保護者と児童館とのつながりが、日常活動における取りくみや各行事への参加などをきっかけにして、いくつか生まれてきている。ボランティア活動に興味を示している保護者もいるが、登録は増えてはおらず、ドリチルの枠の中ではしっくりおさまっていないのが現状である。青少年へのボランティア育成支援活動と保護者とのそれとでは児童館との関わり方も違っており、来年度以降、児童館利用者の保護者と児童館との個々のつながりをどのようにして輪にするのか模索していく必要がある。

 

 

 

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