(7) 地域の中で地域と共に
−人として自立し成熟する事を願って−
新潟県新潟市・新通保育園
副園長 細川玲子
地域子育て支援センター「たんぽぽ」ができるまで
子どもの本当の幸せをもう一度、親と共に考えるために
10年程前からでしょうか、親も子も保母も戸惑うような、「気になる子」「落ち着けない子」などが入園してきて職員の方からの要望で、ケース検討会を始め、私たちなりに必死になっての対応が次々と求められるケースも多く出てきました。親も保育園も子どももそれぞれが一生懸命やっているのに、どう対処していいのか解らず泣くような思いをしました。様々な子どもたちとの出会いの中で、その全ての子どもに幸せを願いながら、子ども一人ひとりが、健気ともいえる程の日々を過ごす中で何故、その命の輝きを奪われてしまうのだろうか。どうして皆が幸せになれないのだろうか、幸せになる権利は、どの子にも平等なはず…と懸命になればなるほど、その存在は、遠くなり、親と共に子どものために信じ合い、支え合う関係は、何かずれてしまうのです。何とかしなければという焦りとも、深い怒りや悲しみともつかないそんな思いで保育する日々が続きました。しかしその親の立っている場所も社会を反映し、決して楽しいとか、夢があるなどといえないことも確かです。このことを考えていくことは、もはや後回しにしてはいけない問題であることを突き付けてくる日々が続きました。丁寧な根気の要求される具体性のある対応を続けることが、解決につながり、そのことで我々も保育の体力を付けていくことになりました。