・ハプニングに上手な対応を
講座の途中では、人生がそうであるようにさまざまなハプニングが起き、ドラマが生じます。
保育つきの場合でも、不安になった子どもは母の元にいる自由が保障されています。泣きながらすがり付く子どもに、はじめ母は困惑の様子を見せますが、講座を中断して、「ママのところがいいのね、しっかり抱いてやって」と子どもの気持ちを通訳して伝えますと、母はホッとした表情となり全員の見守るなか抱き上げます。「悲しいのよね、いっぱい泣こうね」と声をかけ、落ち着いてから講座再開です。母のひざの上で遊ぶのに飽きた子どもは、ほどよく迎えにきた保育士の誘い掛けで遊びに戻ります。
このような場面はそのまま、安心できる母子関係、子どもの意欲を引き出すかかわりの実例として紹介されます。
動きに落ち着きがなく育てにくいであろう子どもが、母の傍らでぐるぐる円を描いています。線路との母の説明に、私はそこにそっと電車を描いてみました。「おっ」という表情で私を見上げた子どもは、さらに円を描き、次々と色を変えてカラフルな線路にして満足そうです。母子の了解を得て、大人とのやりとりのなかで子どもが遊びを発展させるプロセスを他のお母さんたちに説明します。「お母さんに教えていただいたので」との私の言葉に勇気づけられたのでしょうか、帰り際、これまで暗い色しか使わなかったこと、参加するのに迷いがあったが参加して良かったとホッとされた表情で伝えてくれました。
・親子遊びでスキンシップを
母と離れていた子どもの気持ちをくみとり、充分なスキンシップ遊びをして終了となります。
終了時、保育担当者がお母さんに、「こう伺っていましたので、こんなふうに相手をしたら、こんなふうな動きになって」と伝えますと、安心するだけでなく保育に協力した自分に自信を感じるようです。