(2) 子育て支援と育児相談
岩手県花巻市・若葉保育園
主任保育士・子育て支援センター室長 中村美喜子
園庭の「ななかまど」の実が艶やかな赤に染まり、秋の草花が一斉に咲いて、子どもたちのままごと遊びに様々な役割で参加し始めました。
若葉保育園は岩手県の真ん中に当たる、花巻市にあります。花巻は交通の便がとても良く、東北新幹線が止り、花巻空港があって大阪、名古屋、福岡、札幌、コミューターで新潟まで短時間で行き来できます。人口7万人の市ですが、その経済を支えているのは、農業と豊富な湯量の温泉郷や宮沢賢治の生誕の地としての観光、誘致企業の多い工業団地の下請け工業が主です。農業離れによる宅地化が進み、人口が増えないのに世帯数が増加し、当然のこととして核家族も増大しています。
昭和60年4月に若葉保育園で、都市児童健全育成事業の一端として始められた電話による育児相談は「地域子育て支援センター」を経て現在までの15年間にわたって、年間平均200件を越える相談を受け続け、核家族化の進む中、小さな部屋のなかでの孤独な育児に不安を持つお母さんたち個々の悩みに応じてきました。地域子育て支援センターになってからも事業内容の拡大はありましたが、常にその根本にあるのは育児相談でした。お母さんたちが集まっておしゃべりするのも育児不安の解消になりますが、本当に心配な時は育児相談の電話や園庭開放時の保母への個人的な相談となります。
私たちも、いろいろな事例をとおして、時代の移り変りを感じながらもお母さんたちの悩みの本質に触れ、共に悩みながらたくさんのことを学びました。
