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すいこまれそうに青々とした空をなにげなくみていると、なにかがフワフワと気持ちよさそうにおよいでいる。さわやかな風にのって……。そのちっぽけな姿は わたげ。そうです、たんぽぽのわたげが風のながれに身をまかせて、なんとものどかに旅をしているのです。すずめ、カラス、ほうじろ、はと……。色々な鳥に会いながら。

このうたの作者の中で、わたげが自由に旅をしている様子がひろがっていく。題名を「わたげの旅」としてメロディーにのせる。ところはキャンプ場。広々とした空間のなかでこの曲は生まれたそうだ。メロディーができ、うたっていくうちに「わたげの旅」から「空の旅」と題名がかわる。

あちこちの卒園式などでうたわれ、2番の詞には、とくに想いがダブって、うたいながら感動の声もわきおこっている。広い草原で生まれ、たのしく生活を送っていたたんぽぽが、自分の成長に気づき、仲間にさようならをして空の旅へ出発。わたげとなってさまざまな風に身をゆだねながら旅をし、やがて新しい大地に根をおろす。あたり前のような植物の生態が、なんとなく人間の生きざまと似ている。このうたと出会ったとき、すぐ私の住んでいる地域のおかあさんコーラスと子どものコーラスでうたった。さっそく「らんらんらん」から3度のハーモニーで、そして3拍子のリズムに気持ちよくのって、「空の旅」はたちまち大好きなうたになったのです。子どもたちも身体をゆったりとうごかしながら、後半のメロディーをうたっていました。青空のもとでうたった時、なんだか心がさわやかになるのを感じたのです。

(作者の谷口さんは、4年間の保父の仕事を経て、現在、保育園、幼稚園、保育にたずさわる先生達を相手に、うたあそびの講演で全国をまわっています。)

(繁下)

 

 

 

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