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保育所の保健活動の基本的考え方

 

(1) 保育における保健の意義

保育所における保健活動は、保育園児の健康の保持増進を目的とする保健活動であり、保育の実践と家庭、地域との関連のなかで展開されるものである。好ましい保育はそのまま乳幼児の健康の保持増進につながることから、保育活動は保健活動に他ならない。

その保健活動は、保育所のそれぞれの職員の専門性を活かしたものであり、嘱託医や看護職のみの役割ではない。その意味で、個々の職員は、自分の職域のなかで実践できる保健活動の意義を理解し、必要に応じた連携を図る方策を日頃からしっかりと確立しておく。

 

(2) 保健活動に向けての基本的事項

保育における保健活動は、個々の乳幼児の条件に応じて実践されなければならない。そのためには、保健活動の始点は対象把握からはじまる。対象把握は、基本的把握、日常的把握に区分できる。この対象把握が、適切でなければ保育そのものが不十分に陥る危険性があることを認識したい。

基本的把握とは、例えば、入所等に際する乳幼児の生育歴等の情報収集から始まり、その情報の保健学的理解である。新指針にも、母子健康手帳による情報収集も必要であり、その際の留意事項を明記してある。

日常的把握とは、毎日の保育のなかで実践されるものであり、登園時の乳幼児の状態の観察と情報収集、保育中の乳幼児の示すあらゆる心身の状態や生活実態の観察によるものである。このなかには、新指針にも示された虐待の有無の観察も含まれることはいうまでもない。また、身体計測による身体発育状態の評価判定、日常の生活状態を通じた精神運動機能発達状態の評価判定による把握、疾病罹病状況、事故による傷害の状況の把握、等が、これに相当する。

 

(3) 保健活動に必要な連携のあり方

保育における保健活動を適切なものにするためには、他領域の職種、他機関・施設との密接な連携が必要である。

保育における具体的な連携には、1]同一施設内での他職種との連携(日常的な保健活動の基本)、2]他機関・施設との専門的分野の活用、があげられる。

その場合に、1]事例を紹介や連絡するだけ、2]事例の問題の経過についての相互の情報交換、3]事例についてそれぞれの専門性の活用に関する方針決定の話し合い、4]同一場面における協同作業の実施、等がある。

 

 

 

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