(3) 長崎港の利便性向上のための施策
1]通関の迅速化・円滑化
アンケート調査結果によると、長崎港利用にあたって求められる条件(輸送コスト、リードタイム以外)として「即日通関の実施」をあげた荷主が最も多く6割以上に上っている。これは、通関時間の短縮を通じたリードタイム短縮に対するニーズが反映されたものと考えられるが、ヒアリング調査によると、「長崎港は通関が遅い」というイメージを持つ荷主企業も存在しており、アンケート調査結果にはこうした事情も影響している可能性がある。
こうしたことから、長崎港利用促進のため、短期的には事前審査制度の活用や4]に述べる通関手続の情報化により、通関の迅速化・円滑化を図るとともに、中長期的には日中複合一貫輸送サービスの充実等を図るため、即日通関を実現させることが望ましい。同時に、これらの取り組みを荷主企業等に対して積極的に情報提供し、荷主企業の信頼を得ることが必要である。
【想定実施主体:税関、通関業者 等】
2]混載サービスの充実
アンケート調査結果によると、長崎港利用にあたって求められる条件として「小口混載サービスの提供」をあげた荷主は、「即日通関の実施」に次いで多く5割強に上る。
すでに長崎港においても韓国向けでは混載サービスを提供しており、今後は小規模な荷主に対してその利用を促進するとともに、中国・上海向けなど他国・地域向けへのサービス拡大を進めていくことが望ましい。
【想定実施主体:長崎県貿易協会、長崎港活性化センター、港湾関連事業者 等】
3]燻蒸施設の稼働再開
アンケート調査結果によると、長崎港利用にあたって求められる条件として「燻蒸施設の稼働再開」をあげた荷主は約1割に過ぎないが、それらの荷主の取り扱うコンテナ貨物量は「即日通関の実施」や「小口混載サービスの提供」に次いで多く、月間100TEU弱に上っている。
こうしたことから、長崎港における農水産品等の輸入を促進するため、現在稼働中止状態となっている燻蒸施設について、地元住民との合意を形成し、早期の稼働再開を図る。
【想定実施主体:長崎県 等】
4]港湾EDI、Sea-NACCSへの対応
1999年10月、海上貨物の通関情報システムであるSea-NACCSのシステム更新が行われるとともに、港湾管理者等の港湾諸手続にも港湾EDIが導入された。長崎港においてもこれを導入するとともに、関係事業者においてもこれらへの対応を行い、通関や港湾利用にかかる申請業務等のペーパーレス化、迅速化、省力化を進める。
【想定実施主体:長崎県、税関、船社代理店、通関業者 等】