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1. はじめに

 

航空機の離陸と着陸のとき機内アナウンスで一切の電子機器を使用しないようにとの注意が行われている。過去に、航空機が着陸に失敗した原因調査により方向探知機が狂っていたことが報告され、機内のラジオなどの電子機器を使用したことが原因と推定されている。

最近の電子機器は高密度のLSIが使用され、複雑なソフトのコンピュータが組み込まれるなどから、外部からの微弱な妨害電波にも影響を受けるようになっている。

船舶にも高度な電子機器が使用されるようになり、電磁両立性(EMC)問題が重要な課題となってきた。「電磁波による舶用機器の誤作動の防止に関する調査研究委員会」は平成10年度から船舶におけるEMC問題に対処する調査研究を続けるようになったのは時代の要求に即した活動といえる。

EMCは全世界共通の規格となる必要から、国際電気標準会議(IEC)で国際規格が統一されているがその下部機関の技術委員会や、国際無線障害特別委員会(CISPR)などにより規格策定のための調査検討が行われている。各国においてもそれぞれ国内のEMC問題を担当する委員会があるが、最近欧州共同体の結びつきが強くなり欧州共同体による船舶搭載機器に関するEC指令という欧州統一規格を制定して、船舶についてはIEC60945規格に合格した機器に「CEマーク」をつけ、合格した機器のみを欧州市場で使用できるように規制されている。

本調査研究委員会では平成10年度から引き続いてEMC問題における国際的動向を調査して船舶関係者にEMC問題の啓蒙を進めると共に、

ナブテックス受信機

電力制御装置

スピードコントローラ

油分濃度計

の4機種における妨害波排除能力(イミュニティ)の測定を行った。

IEC60945規格を満たさなかった機器に対しては対策を行い国際的なEMCの要求に対処出来る成果を順次挙げている。

平成11年度報告書には、これらの結果をまとめて述べてある。

 

2. 事業目的

 

近年、電子機器の普及により、他の電気、電子機器から発生する電磁波による電子機器の誤作動が問題となっている。

船舶においても多数の電気、電子機器が搭載されており、船内における電磁環境は確実に悪化しているものと見られ、航海計器や無線設備をはじめ、各種機器の制御装置等の多数の電子機器について、船舶の安全及び海洋環境の保全を図るうえで、電磁波による誤作動の防止対策を的確に講じていく必要がある。国際的にも欧州では、船舶に搭載する電気、電子機器について、こうした観点からの規制が導入された。

 

 

 

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